【World Topics】プライマリケアのニューモデル
公開日時 2015/05/11 03:50
プライマリケアの改革で医療のコスト削減と質の改善をめざす ”Iora Health(アイオラ・ヘルス)” はハーバード発。企質 や行政の保険者(ペイヤー)と HMO型(定額人頭前払方式)の契約を結び、加入者の健康の維持・改善に責任を負うプライマリケア・サービスをチェーン展開する医療ベンチャーだ。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
http://www.iorahealth.com/about-us/overview/
伝統的な「かかりつけ医」方式(医師が1人で患者のケアに責任を負う)と異なり、アイオラ・ヘルスのクリニックでは、 医師、看護師、薬剤師、栄養士、ヘルスコーチなど多様な専門職で構成されたチームが、 患者(加入者)の 疾病の治療から健康の改善・維持に共同であたり、「患者中心」のプライマリケアの実現をめざす。
たとえば治療中の糖尿病の患者のヘルスコーチから「(この1ヶ月)治療薬をのまなくなった」とのレポートが入ると、担当チームの医師はヘルスコーチとともにすぐに患者に電話し、薬が嫌な理由を丁寧にヒアリングする。患者が(最新の処方薬が)「大きくてのみにくく、毎回喉につかえてしまう」からと語ると、すぐに薬剤師に連絡が取られ、のみやすくする措置が検討される。
医師1人体制では気づきにくい問題にいち早く気づくことができ、 医薬分業の仕組みでは期待できないサービスがいち早く提供できるのが利点。これによりケアの質があがり、無駄なコストが削減できる。
アイオラ・ヘルスは職階によるヒエラルキーのない組織をめざす。 チーム・ミーティングは全員が交代でリードし、医師も他の専門職も発言権は対等。社是はウェブサイトでの職員紹介にも徹底されており、 掲載はファースト・ネームのABC順。そのためCEOのDr. Rushika Fernandopulle はリストの終わり近くに掲載されている。
2011年の創業。初期の48.3ミリオンドルの資金調達で、確実にパートナー、チェーン・クリニックを増やして伸び、 今年2015年1月にCラウンドで28ミリオンドルを調達。本格的なビジネス拡大を狙う。プライマリケアのスターバックスをめざすというクリニックに全米が注目している。