SGLT2阻害薬スーグラ 第一選択に慎重 処方医の4割近く 理由の多くに「症例選択必要」
公開日時 2015/04/07 03:52
新規機序の経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬で先鞭を切ったスーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン)の処方経験がある医師を対象に、「診察している2型糖尿病患者の多くに第一選択薬として処方するかどうか」と聞いたところ、処方医の4割近くが「第一選択薬としては処方しないと思う」と回答した。糖尿病科や代謝・内分泌科を標榜する医師(以下、専門医)では5割近くに達した。スーグラに限らずSGLT2阻害薬では、脱水や脳梗塞リスク、皮膚障害などに留意する必要があり、非推奨患者として▽痩せている患者▽高齢患者――などと販売・販促会社や関係学会が位置付けていることが、今回の結果の背景にあるとみられる。
調査は医療情報専門サイトを運営するケアネットに登録している医師会員のうち、スーグラの処方経験がある一般内科医、糖尿病/代謝・内分泌科医を対象に実施した。調査期間は1月29日~30日。有効回答数は458人(一般内科医386人、糖尿病/代謝・内分泌科医72人)。
第一選択薬にするかとの質問に対し、回答医師全体では、「第一選択薬として処方すると思う」が8%、「現時点では判断できない」が54%、「第一選択薬としては処方しないと思う」が38%だった。専門医に限定すると、同7%、46%、47%――で、1ポイント差ではあるものの、第一選択薬に慎重な医師が最も多かった。
医師コメントから第一選択薬に慎重な理由を分析してみる。第一選択薬に慎重な医師からは「症例をきちんと選べば、安全や薬剤と思う」(GP、一般内科)との内容が散見され、第一選択薬にするとの医師からも、「処方する患者を選べば、良く効く薬だと思う」(大学病院勤務医、糖尿病科)との内容が少なくなかった。これは、処方医の多くがHbA1c低下効果や体重減少作用とのSGLT2阻害薬の特徴を経験し、一定の評価をしているものの、脱水リスクなどから症例選択が必要な薬剤であることも同時に認識したと分析できる。
第一選択に慎重な別の医師コメントとして、「ストライクゾーンが狭いうえに危険球が多い(DPP-4阻害薬とは対照的)」(大学病院勤務医、糖尿病科)との内容もみられ、やはりスーグラというよりはSGLT2阻害薬そのものの特徴を肌で感じた専門医が少なくないと分析できる。
調査結果の詳細はMonthlyミクスの連載「新薬の立ちイチ」の4月号に掲載している。ミクスOnlineでは、こちらから閲覧できる(有料会員限定)。