米FDA Vyvanseに過食症の適応追加を承認
公開日時 2015/02/12 03:50
米食品医薬品局(FDA)は1月30日、ADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬Vyvanse(lisdexamfetamine dimesylate)について、過食症の適応追加を承認した。同剤は、過食症の承認を得た初の薬剤となった。
過食症では、患者は普通よりも大量の食事を強迫的に摂取させられている経験を繰り返し、食欲のコントロール不能な感覚を味わう。空腹でないときも食事を摂取する。そのため、大量に食事を摂取することに自己嫌悪を感ずる。また、過食症は、体重増や肥満に関わる疾患を招く。
Vyvanseは、前シナプスからのドパミンとノルアドレナリンの遊離促進および再取り込みを阻害し、両作動性神経を活性化させる中枢神経刺激薬である。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMitchell Mathis精神科製品部長は、「過食症は重症の健康障害を引き起こし、患者の勤労生活・家庭生活・社会生活を困難にする」と指摘したうえで、「Vyvanseの承認は、医師および患者に過食症のエピソードを抑制するのに役立つ効果的な治療オプションを提供する」と同剤へ期待感を示した。FDAは同剤を優先審査の対象とした。
Vyvanseの有効性は、中等度から重度の過食症患者724例を対象とした2本の臨床試験で検証された。同剤を投与された患者では、1週当たりの過食症発症の日数が減少、また、プラセボ投与群に比べ、強迫的な過食行為が減少した。
同剤の重篤な副作用としては、精神医学的障害および突然死、心臓発作など心臓障害および脳卒中など。Vyvanseのような精神神経系薬剤は、幻覚、妄想などの精神病的もしくは躁病的症候を発症する可能性がある。このため、同剤については、患者向けメディケーションガイドの配布が義務付けられた。
同剤の臨床試験で報告された、主な副作用は、口渇、不眠症、心拍増加、神経過敏、不安など。
なお、同剤は、体重減少の有効性に関する臨床試験は実施されていないので、体重減少の効能では未承認であり、非推奨である。
Vyvanseは、2007年に6歳以上の小児および成人におけるADHDの治療薬として承認された。同剤は、アイルランドのシャイアー社の米法人Shire US社(本社:ペンシルバニア州ウェイン)が販売する。なお、塩野義製薬は、2011年11月18日に同剤についてシャイアー社とADHDの適応での国内における共同開発・商業化に関する契約を締結している。