合併症ある脂質異常症患者 4割以上が自身の脂質異常症の病状を理解せず 塩野義調査
公開日時 2015/01/28 03:50
塩野義製薬は1月27日、脂質異常症に糖尿病または高血圧を合併している患者(3疾患合併含む)のうち、4割以上の患者が自身の脂質異常症の病状を理解していないとの調査結果をまとめた。この合併患者(同)のうち自身の糖尿病の病状を理解していない患者は2割程度、同じく高血圧も2割程度にとどまり、脂質異常症に関する理解の低さが突出していた。また、脂質異常症を有する合併患者(同)では、治療に必要なことをきちんと行っていないとの認識の患者が約半数にのぼり、これは若い人ほど多い傾向も確認された。
調査は全国在住の20~60代の男女を対象に実施した。回収サンプルは高血圧のみ、糖尿病のみ、脂質異常症のみ、脂質異常症+高血圧、脂質異常症+糖尿病、高血圧+糖尿病、脂質異常症+高血圧+糖尿病――で各400例、計2800例。調査方法はインターネット調査。調査時期は2014年6月。
脂質異常症+高血圧、脂質異常症+糖尿病、脂質異常症+高血圧+糖尿病――との合併症を有する脂質異常症患者1200例のうち、「今の自分の『脂質異常症』の状態」について「よく知っている」「やや知っている」と理解している患者は58.4%だった。逆に言えば、4割以上が理解していないということになる。ちなみに、脂質異常症+糖尿病、脂質異常症+高血圧+糖尿病――の合併患者800例のうち、自身の糖尿病の状態を理解している患者は77.6%。脂質異常症+高血圧、脂質異常症+高血圧+糖尿病――の合併患者800例のうち、自身の高血圧の状態を理解している患者は77.2%だった。
また、自身の治療目標値を知っているかどうかを聞いたところ、「血糖値」や「血圧値」を知らない患者は約1割だったが、「コレステロール値」を知らない患者は3割近くとなった。
患者の治療への姿勢を見てみたところ、脂質異常症+高血圧、脂質異常症+糖尿病、脂質異常症+高血圧+糖尿病――のどの合併症を有する脂質異常症患者でも、「治療に必要なことはきっちりやっている」との回答割合が53%~55%にとどまった。そして、年代別の分析では、「治療に必要なことはきっちりやっている」は30代が40%、40代が47%、50代が51%、60代が63%――、「前向きに治療に取り組んでいる」でも30代から43%、61%、65%、78%――となり、若い年代ほど治療に前向きにきっちり取り組んでいる人が少ない傾向も確認された。
調査結果を受けて埼玉医科大かわごえクリニック院長の片山茂裕氏は、糖尿病、高血圧、脂質異常症の合併患者では心疾患の発症リスクがより高まることから、「医療関係者は個々の患者さんの状態をトータルに管理することが重要だが、患者さんにもトータル管理の重要性をしっかり伝えて診療することが大切」とコメント。帝京大臨床研究センター長の寺本民生氏は、「患者さんだけでなく家族の方にも、継続治療の必要性・中断リスクを理解いただくことで、より積極的に治療に取り組んでいただくことが可能」としている。