英GSK GLP-1受容体作動薬Tanzeum 早くも価格戦略
公開日時 2014/08/06 03:50
英グラクソスミスクライン(GSK)は、同社の新規GLP-1受容体作動薬Tanzeum(albiglutide)の7月末発売を前に、GLP-1作動薬市場の競争が熾烈なため、競合品よりも大幅な引き下げを決めた。GSKは、Tanzeumの1セット(4つのペン型注射剤、週1回投与で1か月分)の価格を326ドルに設定した。この価格は、市場でのリーディング製品であるノボノルディスクのGLP-1受容体作動薬Victoza(リラグルチド)1.8mg高用量1か月分より36%安い。さらに、卸取得価格はVictoza低用量1.2mgの価格より10%安価となっている。
Tanzeumは、週1回投与で、Victozaは、1日1回投与である。Victozaが、2つあるいは3つのプリフィルドペンで投与する。3つのペンは高用量の1か月投与に必要とし、低用量には2つ必要とする。Tanzeumは、今年4月に米国で4番目のGLP-1受容体作動薬として承認されたが、GSKがどのように競合品との差別化を図るかが課題となっていた。
GLP-1受容体作動薬市場には、英アストラゼネカのBydureon(エキセナチド徐放性製剤)とByetta(エキセナチド)がある。Bydureonは、週1回投与、Byettaは、1日2回投与である。GLP-1受容体作動薬は注射剤なので、週1回投与は大きな利点である。Bydureonは、Victozaと比較して、市場では精彩がない。Bydureonの2014年第1四半期の売上は8000万ドルに過ぎない。一方、Victozaの同期の売上は5億3100万ドルに達している。
TanzeumについてのGSKの価格戦略は、Bydureonにも圧力をかけそうだ。Tanzeumの卸価格は1か月440ドルでByderionの価格よりも35%安い。
GSKは、「Tanzeumの価格戦略は患者の保険カバレッジのアクセスをしやすくすることを狙っている」と話している。
確かに糖尿病治療薬は、近年、保険者が厳格な審査を行う領域となってきている。Victozaは、昨年、PBM(薬剤給付管理)会社Express Scripの全米保険カバレッジの収載リストから除外され、保険者が抵抗を示したものとして業界を驚かせた。Express ScripとCVS Caremark Corpは、8月に2015年の全米保険カバレッジを発表すると予定されているが、これによって、非収載リストに含まれる製品があると製薬企業にとっては重大問題となる。
そういう意味では、GSKがTanzeumの価格を既存製品の価格より安くすることは賢い方法である。しかし、GSKは、Tanzeumが、VictozaとのHead-to-headの試験で非劣性を示すことができなかったので、価格の調整をする必要がある。Bydureonもまた、Head-to-headの試験でVictozaと同等の有効性を示すことはできなかった。
The Pink Sheet 7月14日号