ボストンコンサルティンググループシニア・パートナー&マネージング・ディレクター植草徹也前回は、ここ数年間で現実に起きているマーケティングの変化を4Pの観点から俯瞰した。今回は、諸外国で起きていることも踏まえながら、今後5年単位で起きる可能性のある医薬品マーケティングの進化の方向性について考えてみたい。伝統的な医薬品マーケティングが生まれてきた背景伝統的な医薬品のマーケティングと言えば、有効性・安全性の観点から製品の競合優位性を明確化し（製品ポジショニング、もしくはキー・メッセージ）、それが最も効果を発揮する患者像や医師像を定義し（ターゲティング）、多数のMRを投入して医師に伝えていく（プロモーション）というものだった。いわゆるパワーマーケティングという手法である。また、2000年代半...