ノバルティス・社内調査 約1万例で有害事象報告遅延 重篤な副作用含む可能性も
公開日時 2014/06/10 03:53
ノバルティスは6月9日、MRなど社員が自社製品に関連する有害事象を把握しながらも、安全性評価部門への報告が約1万例で遅延していたことが、社内調査で判明したと発表した。有害事象の中には、厚労省に報告すべき重篤な副作用が含まれている可能性もあることから、早急に調査を進める。同社では、社員が有害事象を入手した場合、24時間以内に報告する社内ルールが定められていたが、遵守されていない実態があった。
社内調査は、SIGN研究の社外調査委員会の調査結果で、MRらの副作用報告義務違反が指摘されたことを受けて実施された。MRをはじめ全社員約4500人を対象に、有害事象に関連する資料すべてを提出するよう求めた。調査期間は4月11~18日。
社員から提出された資料は、電子媒体の記録や手書きのメモ、医師が社内講演会で発表したスライドなどで、現時点で製品名が特定できた症例が約7800例。未確認の資料も含めた推計約1万例で有害事象の報告遅延があった。このうち、90%は同社のオンコロジー領域4製品(アフィニトール、グリベック、タシグナ、フェマーラ)が占めていたという。
多数の症例で報告遅延があった理由について同社は、報告対象に期限を設けなかったことや、すでに報告済の症例や同一症例など重複した症例が含まれていたこととしている。一方で、報告遅延が起きた理由については、MR活動において営業活動に重きを置く傾向があったとした上で、「上長による指導や確認が十分ではなく、意識の甘さがあった」としている。
今後の再発防止策としては、▽MRの上長も含め、有害事象報告の徹底についてのトレーニングの実施、▽iPadからの有害事象の報告システムの円滑化など、報告システムやツールを確実に報告されるように改善、▽人事評価項目にGVP(医薬品などの製造販売後の安全性管理基準)に関する項目を設定――するとしている。
なお、同社は6月6日付でPMDAに報告を行っている。