ノバルティス 慢性骨髄性白血病治療薬で重篤な副作用疑い30例 報告漏れの可能性も
公開日時 2014/05/12 03:52
ノバルティスファーマは5月9日、慢性骨髄性白血病(CML)治療薬・タシグナ(一般名:ニロチニブ)などで治療中の症例を対象としたQOLアンケート調査で、厚労省に報告すべき可能性のある重篤な副作用が約30例あったことを明らかにした。調査は、営業職主導で、2013年4月~14年1月まで全国規模で実施され、約3000例を回収したという。同社は、厚労省に4月8日付ですでに報告しており、今後副作用が重篤か否かの判定など担当医師への詳細な調査を進めるとしている。
今回判明した約30例の副作用は、MRなどが医師主導臨床研究にかかわったことが問題視されたタシグナの医師主導臨床研究「SIGN」の社外調査委員会(委員長:原田國男氏)で、副作用の報告漏れがあったとの指摘がなされたことを受けて実施した社内調査で判明した。
MRが副作用を把握した場合は、重篤か否かによらず、同社の安全性評価部門へ報告することとなっている。重篤と判定された有害事象については、厚労省への報告対象となることが薬事法上定められている。しかし、今回判明した約30例については副作用名から重篤と判定される可能性があるにもかかわらず、報告が漏れていた。
アンケート調査は、治療薬によらずCMLで治療中の症例における副作用や患者QOLなどについて、問診票形式で医師、薬剤師に該当項目にチェックしてもらうもの。アンケート用紙に統一されたフォーマットはなく、営業所、MR個人で適宜変更されていた。CML治療薬は、同社が販売するタシグナ、グリベック(イマチニブ)のほか、スプリセル(ダサチニブ、BMS)などがある。
調査は営業主導で、マーケティング部門も一部関与していた。同社は調査について、医師、薬剤師に副作用を確認する通常のMR活動の一環として位置づけており、営業職が実施したことについては問題がないとしている。なお、調査への協力を要請した医師、薬剤師への謝金等は発生していないという。
◎SIGN研究 社外調査委で指摘の副作用は非重篤 報告対象外に
同社はまた、SIGN研究の社外調査委員会で、薬事法上報告義務のある重篤な副作用である可能性が指摘された2例について、担当医師などが報告対象に該当しない「非重篤」と判断したことから、9日付で厚労省に報告対象外である旨の追加報告を行ったことも明らかにした。