オピオイド製剤市場展望 乱用防止薬剤の普及進まず
公開日時 2014/04/10 03:50
乱用防止の工夫がしてあるオピオイド製剤は、乱用による重篤なアンメットメディカルニーズへの解決策とジェネリック医薬品との競争における差別化になりうるもので、米食品医薬品局(FDA)の期待するところでもあるが、なかなかそのような製品が登場しないのが実情だ。
乱用を防止する工夫を薬剤に施すことは技術的に非常に難しい。製薬企業は、そのような薬剤の開発と技術に多額の投資を行ってきた。しかし、ファイザー社でさえ、疼痛分野のスペシャリスト、King Pharmaceuticals社を2011年に買収したものの、乱用防止を備えた製品の開発にはまだ至っていない。
唯一そのような製品を持っているPurdue Pharma社は、オピオイド製剤OxyContin(オキシコドン徐放性製剤)の再製剤化を行い、乱用防止に成功した。添付文書にも乱用防止が可能なことを謳っている。OxyContinは、かつては乱用製剤の見本のようなものだったが、いまや、乱用を抑制する象徴にようになっている。
乱用防止の工夫は、錠剤を砕き、鼻からの吸収や液体にまぜ注射による注入を試みることを防ぐために、錠剤をますます固くする傾向にあるが、これは製薬企業が想定していた以上のものだ。FDAは乱用が死亡など重大な結果を招来するために、当該薬剤が目的通りに作用するという明確なエビデンスがない限りラベルに乱用防止の表示を承認することに慎重である。
FDAは、昨年、製薬企業にオピオイド製剤開発促進を目的として、乱用防止の表示承認を取得するために、どのような臨床試験の実施が必要かなどについてのガイダンス案を発表した。
同案はまだ検討の余地があるようだ。FDAのMargaret Hamburg長官は、議会上院のヒアリングで、「乱用防止の技術はまだお粗末なので、FDAはオピオイド製剤に乱用防止の要件まで求めない」と話した。
FDAは、3月11日、Mallinckrodt社の新規オピオイド製剤Xartemis(オキシコドン+アセトアミノフェン配合剤)を承認したが、同社が求めていた乱用防止の表示は承認されなかった。同剤に引き続き、同社のXartemis XRは、オキシコドン+アセトアミノフェン配合剤では初の徐放性製剤となる。
以上のほか、乱用防止の適応を求める開発中のオピオイド製剤には、Purdue社のTargniq ER(オキシコドン+ナロキソン配合剤)、申請済み、および同社のhydrocodone ER(2014年申請予定)、また、乱用防止の表示承認取得は求めないが、その工夫を施している薬剤にファイザー社のRemoxy(オキシコドン)、フェーズIII(2015年申請予定)などがある。乱用防止の工夫を施したオピオイド製剤の今後の進展が注目される。
The Pink Sheet 3月24日号