武田薬品 タケプロン後継品のボノプラザン 大塚製薬と共同販促へ 自社創製品で初
公開日時 2014/03/28 03:53
武田薬品は3月27日、2月に承認申請した酸関連疾患治療薬ボノプラザンフマル酸塩(一般名、開発コード:TAK-438)について、大塚製薬と共同販促する契約を締結したと発表した。武田薬品の承認取得が前提となるものの、同社が自社創製品で共同販促するのは初めてとなる。両社は今回の契約の狙いについて、「新しいカテゴリーの酸関連疾患治療薬を速やかに広く浸透させるため」と説明している。
今回の契約により、大塚製薬は武田薬品に契約一時金200億円と承認時のマイルストンを支払う。一方で、武田薬品はボノプラザンの売上に応じて大塚製薬に一定の対価を支払う。契約は国内市場に限ったものとなる。
武田薬品は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)除菌の補助療法などを対象に実施したフェーズ3試験を基に同薬を申請しており、現在の主力品の1つであるPPIタケプロンの後継品と位置付けている。大塚製薬は防御因子増強剤のムコスタやH.pylori診断薬ユービットを手掛け、消化器領域に強みを持つ。
武田薬品は本誌取材に、ボノプラザンを共同販促のスキームで展開することについて、「新しいカテゴリーの医薬品のためプロモーション力が必要。消化器領域に強い大塚製薬と大きくプロモーションした方が製品価値の最大化につながると判断した」と説明。また両社は、「H.pyloriの存在診断、除菌治療と治療評価を含む酸関連疾患治療に関して、より多くの医療関係者に最適な提案をすることが可能」とし、製品ラインナップによる相乗効果が見込めるとも指摘している。現時点で、担当施設の分担などは計画していないという。
MR約2300人体制の武田薬品ではこれまで、全MRが全製品を担当しているが、4月以降、疾患領域担当制をひき、消化器・中枢・泌尿器・骨・免疫疾患担当MRは全体の4割程度となる。これまでよりもプロモーション力が低下するため共同販促戦略を取ったのかとの質問に対して同社は「そうではない」とコメントした。
ボノプラザンは、胃壁細胞における酸分泌の最終段階に位置するプロトンポンプをカリウムイオンと競合的に阻害する酸分泌抑制薬。現在、第一選択薬として用いられているPPIに比べ、強力で持続的な酸分泌抑制作用や投与早期からの効果を有することが見込まれている。