C型肝炎治療薬・DAA3剤配合剤 AbbVie承認申請へ 日本では異なるプロトコルで実施
公開日時 2014/03/11 03:50
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症治療薬では、Gilead社のSovaldiが遺伝型1型のHCV感染患者において著明な改善を見せ、市場での主導権を把握している。しかし、AbbVie社は、抗HCV薬3剤の経口剤(直接作用抗ウイルス剤:DAA)の配合剤について6本の臨床第3相試験を終了。すでに米FDA(食品医薬品局)およびEMA(欧州医薬品庁)への申請が間近な段階に入っている。同剤は、プロテアーゼ阻害剤ABT-450、NS5A阻害剤ABT-267および非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤ABT-333からなるDAA3剤の配合剤。
The Pink Sheetは、AbbVie社のBarry Bernstein感染症担当副社長に、新規配合剤についての現況や展望について尋ねた。
Bernstein副社長は、AbbVieが1月31日に同剤の臨床試験の良好なデータを発表したことについて、「非常にエキサイトしている」と述べた。その上で、FDAへの申請は第2四半期の早期に、EMAへはその直後を計画していることを明らかにした。
一方、日本では別の臨床第3相試験が進んでいることを説明した。日本でのレジメンは欧米人とHCVの主な遺伝子型が違うため、ABT-450とABT-267の2つのDAAおよびリトナビルの配合剤となっている。遺伝子型1bおよび2の患者にはこの配合剤に加えリバビリンの併用および非併用での試験を行っている。すでにフェーズIIb試験を完了、数か月以内に学会でいくつかのデータを発表する計画だ。
社長は、遺伝子型2-4に対しては、ABT-450とABT-267および他の薬剤(自社あるいは他社からの)との併用を検討しているが、もっとも注力しているのは、すべての遺伝子型HCV治療を可能にする次世代NS5A阻害剤ABT-530とプロテアーゼ阻害剤ABT-493であることを明らかにした。両剤は現在フェーズIIの段階に入っており、遺伝子型1-6に活性を示しているという。しかし、同社の狙いは遺伝子型1および4以外であるとしている。
AbbVieは、プロテアーゼ阻害剤ABT-450、NS5A阻害剤ABT-267および非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤ABT-333の3剤の配合剤の承認が視野に入ってきたので、すでに、販売を成功裏に収めるために営業部門の人員の充実など準備を整える。同社長は、HCV患者に治癒の機会を与えるという同剤の価値を十分に発揮するために患者、医療関係者のもとにこの画期的な治療法を届けることが非常に重要との考えを示した。さらに、「そのために必要なインフラを整備することが我々の仕事である」とコメントした。
同社長は、HCV領域での共同開発や商業化に関するパートナーとの提携については、「(いままで)世界の主要地域でパートナーと提携してきているが、現段階では、パートナーと組んでの販売の必要性は感じていない」と否定した。
(The Pink Sheet 3月3日号より)