中外・13年決算 がん領域売上1724億円、10.4%増 国内事業を牽引
公開日時 2014/01/31 03:50
中外製薬が1月30日に発表した2013年12月期決算では、タミフルを除く国内業績が3292億円、前年比2.6%の増収となった。これまで日本イーライリリーと共同販売し、中外売上分として約160億円あった骨粗鬆症治療薬エビスタの販売提携が12年末に終了したにもかかわらず13年に増収を確保できたのは、アバスチンをはじめとするがん領域の売上が1724億円、前年比10.4%増と2ケタ成長したことが大きい。
がん領域の国内売上をみると、主力品のアバスチンが売上754億円、前年比15.1%増だった。アバスチンは大腸がんの分子標的薬として07年に発売して以来、乳がんや肺がんに適応を拡大し、13年には6月に神経膠芽腫、11月に卵巣がんを追加している。14年は前年比7.7%増を見込み、売上812億円を計画している。
主力のハーセプチンやリツキサンも13年に好調に推移したほか、13年6月にEGFR陽性非小細胞肺がんファーストラインの適応を取得したタルセバは13年下期に前年比16%増と伸長した。ただ、タルセバは14年に8.7%増との計画で、同じ適応の新薬の登場による競争激化を見込んでいると思われる。HER2陽性乳がんの適応症で9月に新発売したパージェタは4か月で24億円を売り上げ、発売時の予測を上回った。
一方、エビスタの12年末の販売提携終了の影響により、骨・関節領域の国内売上は606億円、前年比8.6%減となった。この減収幅にとどまったのは、ビタミンD3製剤エディロールが売上150億円、89.9%増、アクテムラが同204億円、19.3%増と成長したことが大きい。
同社の13年連結業績は、売上高4236億5200万円(前年比9.6%増)、営業利益787億3800万円(同5.5%増)と増収増益だった。国内業績のほか、アクテムラの海外売上の伸長に伴うロイヤルティ収入増が業績に大きく寄与した。
◎カドサイラが承認済み アレクチニブも申請中
14年に上市が見込まれる新薬には、HER2陽性乳がん治療薬トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)と昨年10月にALK陽性非小細胞肺がんの適応で申請され、希少疾病用医薬品の指定を受けているアレクチニブが挙がる。カドサイラは13年9月に承認されているが、薬価収載が見送られていた。また、14年中に代謝拮抗薬ゼローダで胃がんアジュバント療法の適応追加申請が予定されている。
【連結実績(前年度比)】(国際会計基準)
売上高 4236億5200万円(9.6%増)
営業利益 787億3800万円(5.5%増)
【主要製品の国内売上(前年度実績) 14年度予想、億円】
がん領域 1724(1561) 1771
アバスチン 754(655) 812
ハーセプチン 309(287) 300
リツキサン 262(247) 269
ゼローダ 113(109) 108
タルセバ 104(95) 113
ノイトロジン 81(88) 58
パージェタ 24(-)47
骨・関節領域 606(663) 673
アクテムラ 204(171) 224
スベニール 119(123) 118
エディロール 150(79) 176
アルファロール 64(81) 50
ボンビバ 5(-)39
腎領域 489(481) 458
ミルセラ 225(178) 246
オキサロール 122(123) 112
エポジン 105(145) 67
移植・免疫・感染症領域 188(203)173
セルセプト 72(65) 62
ペガシス 55(69) 51
コペガス 13(20) 18
その他領域 286(301) 282
シグマート 86(95)73
海外 611(423) 825
アクテムラ 432(256) 651
ノイトロジン 147(139) 148
タミフル 110(120) 88
うち行政備蓄等 9(19)1