コンサナリスト川越満2012年10月に公開された北野武監督の映画『アウトレイジ・ビヨンド』のキャッチコピーは「全員悪人完結。一番悪い奴は誰だ？」だった。まだ観ていない読者のためにラストシーンで大友（ビートたけし）に殺される“一番悪い奴”は秘密にしておくが、その人物は関東と関西の組同士の抗争をしかけ、結果として主役である大友の兄弟分を全員失うことに導いた人物である。翻って一連の「ディオバン問題」を眺めていると、研究者が株や特許で利益を得ているわけではないし、ARBの中でディオバンだけが爆発的に売上を伸ばしているわけでもない。薬価が他のARBよりも安いため、患者が経済的な不利益を被ったわけでもない。一言でまとめると、研究者の「名誉欲」と元社員Aの「承認欲求」が悪い具合に調和したために起こった悲劇...