米Vertex 肝炎領域から嚢胞性線維症治療薬へ転換
公開日時 2013/11/20 03:50
米ベンチャー企業のVertex Pharmaceuticals(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、今後成長が望めないC型肝炎ウイルス(HCV)治療薬Incivek(テラプレビル)の販促を止め、開発薬効領域を嚢胞性線維症(CF)に絞る計画だ。同社のJeff Leiden CEOが、10月29日の第3四半期決算発表で明らかにした。
同CEOは、医師や患者がプロテアーゼ阻害剤のIncivekよりも効果が高いとされるC型肝炎次世代経口薬の登場を待ち、Incivekの売上が急激に減少したため、販促をやめる計画を明らかにした。現在、同社は、パイプラインにある唯一のHCV治療薬VX-135を持っているが、同剤のフェーズII臨床試験の結果は待つ考えだ。同試験のデータは2014年には発表される予定。
同社は開発中期ステージにある以下の2つのプロジェクトについて他社に導出をする考えである。関節リウマチを含む自己免疫疾患治療薬のヤヌスキナーゼ3阻害剤VX-509 およびフェーズIIにあるインフルエンザA型治療薬VX-787である。
Leiden CEOは、これら薬剤の代わりに、2012年に同社が発売したCF治療薬Kalydeco(ivacaftor)の実績に上乗せする格好でCF治療薬の開発に専念する考えを表明した。
一方、同社は、主にIncivekのマーケティングに従事していた人員を中心に15%の人員削減を行う。この削減により、2014年には1億5000万ドルから2億ドルが節減できるという。2013年には一時的に3500万ドルから4500万ドルのリストラ費用がかかるとみている。同社は人員削減するが、R&D経費については現状を維持する意向を示している。
Kalydecoは、CFの原因遺伝子であるCFTR(嚢胞性線維性膜貫通調節因子)遺伝子の機能不全に初めて対応する薬剤でFDAが新規に設けた画期的新薬制度の指定第1号となった。現在、KalydecoとCFTR correctorのVX-809 (lumacaftor)および次世代CFTR correctorのVX-661を開発中である。
同社は、ノボノルディスクが目指したように、単一の疾患領域でのスペシャリストとして、CF領域で世界のリーダーとなることを考えているようだ。
The Pink Sheet 11月4日号