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薬食審・第二部会 新薬など8剤審議 全て承認了承 初の花粉症経口免疫療法薬も

公開日時 2013/11/19 03:52
厚労省の薬食審医薬品第二部会は11月18日、新薬など8剤について承認の可否について審議し、全て承認を了承した。この中には、初の花粉症経口免疫療法薬となるシダトレンスギ花粉舌下液や、肺がん治療薬でEGFR遺伝子変異陽性を標的とした分子標的薬として3剤目のジオトリフ錠がある。
 
承認が了承されたのは次のとおり。(カッコ内は一般名、会社名)
 
【審議事項】
▽シダトレンスギ花粉舌下液200JAU/mLボトル、同舌下液2000JAU/mLボトル、同舌下液2000JAU/mLパック(標準化スギ花粉エキス原液10000JAU/mL、鳥居薬品):「スギ花粉症(減感作療法)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。減感作療法を目的とした皮下注薬はあるが、舌下液は初承認で、海外未承認。
 
スギ花粉から抽出したエキスの舌下液剤。原因アレルゲンを直接舌下に滴下することで、アレルゲンに対する過敏性を減少させる。皮下注製剤では、数年間の治療で寛解状態に至ることが確認されているが、皮下注薬では通院を要するほか、稀ではあるものの重篤なアナフィラキシーショックがあった。舌下液では治療アドヒアランスの向上や副作用の低減が見込まれる。舌下液の治験では、2シーズンにわたり毎日投与することにより鼻症状の有意な低下が確認された。
 
同剤はアレルゲンを投与する治療法で、誤った使用は症状の悪化を招くおそれがある。そのため、処方は企業主催の講習を受けた医師のみとし、調剤の際も当該医師が処方したことを確認する流通管理を行い、適正使用を図る。
 
▽ジオトリフ錠20mg、同錠30mg、同錠40mg、同錠50mg(アファチニブマレイン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。米国では7月、欧州は9月に承認された。
 
EGFRなどのチロシンキナーゼの活性化を阻害し、腫瘍の増殖を抑制する。1日1回40mgを空腹時に経口投与する。
 
類薬には中外製薬が販売するタルセバ(エルロチニブ塩酸塩)やアストラゼネカが手がけるイレッサ(ゲフィチニブ)がある。非小細胞肺がんは肺がんの85%で、このうちEGFR遺伝子変異の患者は40%とされる。その推定患者数3万人のうち「手術不能、再発」の患者がこれらの治療薬の対象となる。
 
▽ノボエイト静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用1500、同静注用2000、同静注用3000(ツロクトコグ アルファ遺伝子組換え、ノボノルディスクファーマ):「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。米国では10月に承認され、欧州では申請中。
 
先天性血液凝固第VIII因子欠乏症(血友病A)を適応症とする遺伝子組換え製剤ではバイエル薬品のコージネイト(オクトコグ アルファ)やバクスターのアドベイト(ルリオクトコグ アルファ)がある。
 
▽イナビル吸入粉末剤20mg(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、第一三共):「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の予防」を追加とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(平成30年9月9日まで)。予防で用いる場合は20mgを1日1回2日間吸入する(治療では40mgを単回吸入)。治療および予防のいずれの適応でも海外承認なし。
 
予防の基本はワクチンだが、リスクが高い高齢者の家族が発症した場合やパンデミック発生直後の予防手段の選択肢となる。同薬20mgの半減期は67時間。類薬には中外のタミフルカプセル(オセルタミビル)やGSKのリレンザ吸入薬(ザナミビル水和物)がある。
 
▽アレグラドライシロップ5%(フェキソフェナジン塩酸塩、サノフィ):アレルギー性鼻炎などを効能・効果とし「6カ月以上7歳未満の小児の用法・用量及びドライシロップ製剤を追加する」新用量・剤型追加にかかる医薬品。再審査期間は4年。海外では小児に対して経口懸濁液が27の国や地域で承認済。
 
小児の適応を持つ類薬として、MSDと塩野義が販売するロラタジン(クラリチンドライシロップ)や協和発酵キリンのアレロック顆粒(オロパタジン塩酸塩)、GSK、第一三共が販売するジルテックドライシロップ(セチリジン塩酸塩)などがある。
 
▽ザイザルシロップ0.05%(レボセチリジン塩酸塩、グラクソ・スミスクライン):アレルギー性鼻炎などを効能・効果とし「6カ月以上7歳未満の小児の用法・用量及びシロップ製剤を追加」する新用量、剤型追加にかかる医薬品。再審査期間は残余(平成30年10月26日)。シロップ剤は100以上の国で承認されている。
 
 
▽メロペン点滴用バイアル0.25g、同バイアル0.5g、同キット0.5g(メロペネム水和物、大日本住友製薬):「一般感染症の内、化膿性髄膜炎の用法・用量を変更する」新用量医薬品。再審査期間は4年。
 
新しい用法・用量では、化膿性髄膜炎に対し、成人には「1日6g(力価)を3回に分割」、小児には「1日120mg(力価)/kgを3回に分割」して投与する。現行は、化膿性髄膜炎については一般感染症の用法・用量で扱われており、成人には「1日0.5~1g(力価)を2~3回に分割」して投与することになっており、今回は最大用量を引き上げるもの。欧米では既に6g用量は承認されている。化膿性髄膜炎は、年間推定500人がかかり、原因となる細菌によっては約3人に1人は死亡するか後遺症を残すといわれる。
 
▽アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブ ベトチン遺伝子組換え):「再発又は難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。欧米含む5つの国又は地域で承認済。
 
適応疾患の推定患者数は約1000人。抗ヒトCD30モノクローナル抗体と微小管阻害剤からなる抗体薬物複合体で、腫瘍細胞に発現するCD30に結合することで、細胞内に取り込まれ、その際に微小管阻害剤が腫瘍を壊死させる作用を示す。
 
膵がん4剤併用の「FOLFIRINOX療法」承認へ
 
18日の部会では、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査を終え、承認了承となった膵がんに対する「FOLFIRINOX療法」に用いる4剤が報告された。12月にも正式承認となる見込み。
 
▽エルプラット点滴静注50mg、同100mg、同200mg(オキサリプラチン、ヤクルト本社)
▽カンプト点滴静注40mg、同100mg(イリノテカン塩酸塩水和物、ヤクルト本社)、トポテシン点滴静注40mg、同100mg(同、第一三共)
▽5-FU(フルオロウラシル、協和発酵キリン)
▽レボホリナート点滴静注25mg「ヤクルト」、同100mg(レボホリナートカルシウム、ヤクルト本社)、アイソボリン25mg、同100mg(同、ファイザー)
:「切除不能な膵がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
欧州で行われた臨床試験では、主要評価項目の生存期間はゲムシタビン単独投与群では6.9カ月に対し、「FOLFIRINOX療法」では10.5カ月と有意に延長した。
 
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