厚労省が9月10日に発表した2012年度の概算医療費は、前年度より約6000億円増の38.4兆円で過去最高となった。ただ、伸び率は例年の半分程度の1.7%増と低い伸びで、同省は受診延日数の伸びが0.23日(0.9%)減ったのに加え、ここ5年では平均7%近い伸びを示してきた調剤医療費が1.3%増(6.6兆円)と伸びが鈍化したためとみている。調剤医療費は近年、医薬分業の進展が押し上げてきたが、12年度は66%(日本薬剤師会推計)に達し、伸びが落ち着いてきていることに加え、薬価改定が影響した。
概算医療費は、労災・全額自費等の費用を含まない速報値の扱いで、国民医療費の約98%に相当する。12年度は診療報酬改定があり、薬価改定との差し引きで全体では0.004%の引き上げとなった。急性期医療への重点配分などで診療報酬本体を1.379%引き上げたことは、1日当たり医療費の伸び率で入院診療費(医科)が0.9ポイント増の3.6%増と、入院外よりも1.6ポイントも上回ったことに表れている。一方、1.375%の薬価引き下げなどの影響で、調剤医療費は5.7ポイント減の0.2%減となった。全体では2.6%増、1万4800円だった。
38.4兆円の医療費の主な内訳は、入院(医科)は15.6兆円(2.5%増)、入院外13.4兆円(同1.0%増)、歯科2.7兆円(1.4%増)、調剤6.6兆円(1.3%増)。70歳以上医療費が17.4兆円(2.8%増)で、全体の45.4%を占める。
一人当たりは、全体では30.1万円(1.9%増)。70歳以上だと80.4万円(0.2%減)で、70歳未満の4.4倍費やしている計算になる。
調剤レセプトから集計した後発医薬品(GE)割合は28.7%で、数量ベースで5.2%増だった。