NICE 進行乳がんにエベロリムスを非推奨
公開日時 2013/09/03 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は8月28日、Novartis Pharmaceuticalsの抗がん剤Afinitor(エベロリムス)について、HER2陰性でホルモン受容体陽性の閉経後局所進行もしくは転移乳がん患者に対する、アロマターゼ阻害剤のエキセメスタンとの併用での使用を推奨しないとする最終ガイダンスを発表した。エベロリムスはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害剤と呼ばれるクラスの分子標的薬。
NICEのAndrew Dillon事務総長は、非推奨の理由について、「(NICEの)独立評価委員会は、エベロリムスが乳がん細胞の成長を約4か月遅らせ、拡散を抑制したことは認識したが、エキセメスタン単剤と比べて、どの程度患者を延命させたのかについては不確実性があった」と指摘したうえで、「委員会は、入手できるエビデンスを活用して、エベロリムスがNHS(英国民保健サービス)にとって、費用対効果を持つオプションではないと結論付けた」と説明した。
製造業者のノバルティスが提出したエビデンスでは、エベロリムスによる無病生存期間(PFS)中間値でエキセメスタン単剤より4.6か月延長された。
NICEはエベロリムスを推奨しないが、ガイダンスでは、すでに同剤の服用をしている患者は、主治医が、休薬が適切と判断するまでは、服用を続行するべきとしている。英国でのエベロリムスの推奨用量は10mg錠を1日1回服用。エベロリムスの薬価は、10mg錠の30錠1箱が2970ポンド(付加価値税除く。英国ナショナルフォーミュラリー64版)。
ノバルティスは、同剤について英国保健省(DOH)と患者アクセススキームに合意しているが、NICEは、このことはNICEの非推奨の結論を覆すものではないとしている。
英国では毎年、女性の約5万人、男性の400人が新規に乳がんと診断されている。ノバルティスでは、同剤が推奨されたと仮定すると、約1500人が投与対象になるとみていた。
スコットランドのScottish Medicines Consortium(SMC)も2013年7月にエベロリムスをエキセメスタンとの併用での使用をHER2陰性でホルモン受容体陽性の進行乳がん患者に対する治療薬として推奨しないとするガイダンスを発行している。