「言葉の壁」という医療問題
公開日時 2013/04/04 04:00
医療改革法全面施行の2014年を前に急ピッチで準備が進み始めたアメリカ。とりわけアメリカらしい「もう一つの医療問題」に約40億円($43M)の連邦予算が計上されることになったと昨今の話題である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
「もう一つの医療問題」とは、移民社会アメリカならではの「言葉の壁」問題だ。最近の国勢調査によれば、全米には「家庭での会話は英語以外の言語」という人々が5500万人以上も居住している。63%はスペイン語、次いで多いのが中国語(広東語及びマンダリン)である。スペイン語、中国語のほかには、家庭でタガログ語、フランス語、ヴェトナム語、ドイツ語、韓国語を話しているという人々がそれぞれ100万人以上居住しているのである。医療改革を成功させるカギは、実は、これらマイノリティの「言葉の壁」対策であると言われる所以である。これらマイノリティ層へのアウトリーチや教育事業に連邦政府は合計$43Mの支援を行うと発表している。
全米でもっとも移民人口が多く(2230万人)、したがって言語のダイバーシティがもっとも高いカリフォルニア州では、2014年の医療改革で連邦政府の支援措置の対象となると見込まれている260万人のうち100万人が「英語にハンディがある」州民なのである。この実態を反映して、カリフォルニア州の医療改革担当部局は、情報提供ウェブサイト”www.coveredca.com” を13カ国語対応でアップしている。