震災後に心房細動、小児喘息、不安障害が有意に増加 社会情報サービス
公開日時 2012/07/13 04:01
市場調査会社の社会情報サービスはこのほど、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県で、震災後に▽心房細動▽小児気管支喘息▽頻脈性不整脈▽不安障害――の各疾患で統計学的に有意な患者数の増加が見られたとの分析結果を発表した。また、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)については、震災後の被災3県とその他地域を比較したところ、被災3県で有意な増加が認められた。この分析は、同社とエムスリーが毎年6月に共同実施している、医師2万人以上を対象に300疾患以上の診療状況を把握する「PatientsMapデータベース」で、震災前の10年6月データと震災後の11年6月データ(11年は7月データを一部含む)を用いてまとめたもの。
10年データと11年データの両方に回答した医師を対象に分析した。調査対象医師数は被災3県が445人、その他地域が1万2996人。
11年の被災3県の疾患別月間平均患者数をみると、心房細動が4.4人(10年は2.5人)、小児気管支喘息が2.1人(同1.2人)、頻脈性不整脈が5.8人(同3.4人)、不安障害が5.2人(同3.4人)――といずれも11年に増えていた。ちなみに被災3県以外の「その他地域」では、心房細動は3.1人(同2.7人)、小児気管支喘息は2.9人(同2.6人)などとなっていた。
次に被災3県について、診療患者全体に占める各疾患の割合を分析したところ、11年は心房細動が1.1%(同0.6%)、小児気管支喘息が0.5%(同0.3%)、頻脈性不整脈が1.5%(同0.9%)、不安障害が1.3%(同0.9%)――だった。
PTSDについては10年にデータ収集していないため、11年の被災3県とその他地域で分析した。調査対象医師数は被災3県が733人、その他地域が2万825人。その結果、月間平均患者数は被災3県が0.45人、その他地域が0.17人で、被災3県はその他地域の2.5倍超に上った。
なお、この調査結果は5月20~23日にシカゴで開催された米国医薬品マーケティングリサーチ協会によるアニュアルカンファレンスのポスターセッションで発表されたもので、ポスター25本の出展中で3位入賞を果たした。