英NICE DVTの適応でリバーロキサバンを推奨 最終ガイダンス
公開日時 2012/06/07 04:00
英国立臨床評価研究所(NICE)は6月1日、バイエルヘルスケアのファクターXa阻害剤Xarelto(リバーロキサバン)について、急性深部静脈血栓(DVT)と診断された成人患者における、深部静脈血栓の治療並びに再発深部静脈血栓と肺塞栓(PE)の予防の適応でNHS(国民保健サービス)での使用を推奨するとした最終ガイダンスを発表した。
NICEの評価委員会によると、費用対効果面では、リバーロキサバンは低分子ヘパリンおよびビタミンK拮抗剤と比べて優位に立ったという。リバーロキサバンの6か月間の増分費用対効果(ICER)は、1質調整生存年(QALY)あたり3200ポンド、12か月では1QALY当たり1万4900ポンド、12か月を超えた患者で1万9400ポンドとなった。最適なICERの上限とされる3万ポンド以内に収まっている。
同委員会は、EINSTEIN-DVTという臨床試験データの被験者全体のエビデンスも考慮に入れ、リバーロキサバンが低分子ヘパリンやビタミンK拮抗剤よりも臨床的かつ費用対効果に優れていると結論付けた。
同剤の価格は、15㎎錠および20㎎錠がともに2.10ポンド。薬剤費は、3か月235.86ポンド、6か月427.61ポンド、12か月811.13ポンド。価格は、交渉次第で異なるので医療機関ごとに相異がある。
NICEのCarole Longsonヘルステクノロジー評価センター長は、「評価委員会は、当初、製薬企業が提出したデータが不十分だったため、リバーロキサバンを推奨できなかった。しかし、製薬企業からの追加データおよび分析によって、同剤をDVT治療およびDVT再発とPE予防のために推奨できることになった」と経緯を説明した。同ガイダンス案については、現在、パブリックコメントを募集中。
イングランドおよびウェールズでは、2012年には急性DVTの発症例は4万6000例を超えると見込まれ、高齢化の進展により、2016年には5万例に上ると見られているため、このクラスの薬剤のニーズは高い。