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NBI・プラザキサ 特定使用成績調査実施で日本人データ集積

公開日時 2012/05/11 04:02

日本ベーリンガーインゲルハイムは、直接トロンビン阻害剤・プラザキサ(一般名・ダビガトランエテキシラート)をめぐり、非弁膜症性心房細動患者5000例を対象に、特定使用成績調査を行っているとした。同剤の国際共同臨床第3相試験「RE-LY」では、日本人が326例であったことから、“日本人データ”を集積し、安全性・有効性を確認することを目指す。1例あたりの観察期間は2年間。調査は、2011年12月~16年3月まで。同社が5月10日に東京都内で開催したプレスセミナーで報告された。


同社取締役医薬品開発本部長のトーマス・クーナー氏は、RE-LY試験では、1年以内に消化管出血を起こした患者や腎機能低下例が含まれていないと指摘。実臨床下で除外基準を設けずに行われるプラザキサの特定使用成績調査について、すべての患者を長期間追跡できると意義を訴えた。また、解析結果もいち早く医療機関にフィードバックし、プラザキサの適正使用を企業として推進する姿勢を示した。


これに関連し、心臓血管研究所所長・付属病院長の山下武志氏は、日本の市販後調査(PMS)制度の問題点に言及。これまでの新薬は日本より欧米市場で早く上市されることが多く、使用成績に関する情報も日本が後追いとなるケースが多かったと指摘した。その結果、日本の市販後調査も「信頼性が落ちてきている」とし、「PMS制度そのものが変革期にある」との認識を示した。


プラザキサの特定使用成績調査については、論文化を前提とし、薬剤の“良い面”だけでなく、“悪い面”も明らかにするとした。そのほか発売から1年を経過したプラザキサについて、すでに11本のサブ解析結果が報告されているとし、「1つ1つ吟味することで、ダビガトランの弱みが分かった」と説明。新薬の悪い面を明らかにすることで、さらなる薬剤の価値向上に寄与するとの見解を示した。その上で、製薬企業側も、本試験の解析結果だけでなく、積極的にサブ解析結果を含めた多くの情報を開示するよう促した。
 

◎心臓血管研究所・山下氏「75歳未満の低リスク患者に投与を」


山下氏は、同日の講演で、同院で投薬された196例について、脳卒中/全身性塞栓症も大出血も発生していないことを明らかにした。この理由として、投与前にAPTTを測定し、その値を目安に適切な患者を選択していることを挙げた。山下氏は、多くの患者でAPTTは40秒程度だが、一部高値を示す患者がいると指摘。APTTが高値を示す患者は、プラザキサ投与による出血リスクが高いと判断し、ワルファリンを投与しているとした。

さらに、外来受診時のAPTTの分布を、脳卒中発症リスクを示すCHADS2スコアでみると、低リスク(0~1点)では、APTTの分布が狭い一方で、中等リスク(2点)、高リスク(3点以上)とリスクが上昇するにつれ、APTTが高値、低値の患者がまざり、広い分布を示すと説明。高リスクの患者の中に、APTTが高値の、プラザキサ投与による出血リスクが高い患者が混ざっている可能性を示唆した。

一方で、脳卒中の発症が低リスク(0~1点)の患者では、同剤の有効性が高いことも強調した。これら低リスク患者が、脳梗塞を発症した心房細動患者の35%を占めるとのデータも提示。これまで、低リスク患者は、ワルファリン投与により、脳卒中発症リスク抑制効果は得られても、出血リスクが高いことから、投与されていなかったと指摘し、「CHADS2スコアが0点、1点の患者に対するツールはこれまでなかった。今、ツールを手にし、その使い方が分かってきた」と述べ、同剤の75歳未満、低リスク患者における同剤の有効性を強調した。
 

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