エーザイ アリセプト特命係設置 ADの疾患啓発と早期受診の取組み加速
公開日時 2012/04/05 04:02
エーザイは4月4日、国内アルツハイマー型認知症(AD)市場で一層の基盤強化を図るため、アリセプト特命係を同日付で設置し、同社執行役員でエーザイ・ジャパン医薬マーケティング部長の田芳郎氏が同特命係の統轄部長に就任したと発表した。エーザイは11年10月にAD治療薬アリセプトの国内マーケティング活動の強化を目的にスタッフ10~20人の「アリセプト部」を設置したが、今後、アリセプト特命係の直轄下にアリセプト部を置く。
今回の組織改編・人事異動によって、アリセプト専任の執行役員を配置することになる。これは同社が注力しているADの疾患啓発と早期受診の取り組みを一層加速させ、結果として競合新薬やジェネリックの脅威にさらされているアリセプトの売上1000億円台の維持につなげるねらいがある。
同社の推計によると、ADの国内患者数は300万人強だが、受診者数はこの35%程度にとどまる。年齢を重ねるほどモノ忘れも出てくるという認識が、この多くの潜在患者数の要因の一つとされる。ADである場合、早期に治療するほど進行抑制につながることが知られており、製薬各社が疾患啓発に力を入れている。エーザイのAD治療薬アリセプトは物質特許が満了し、11年11月にジェネリックが初参入したが、同社は「これまでの活動を自負しているが、潜在患者数からもまだまだ足りないところがある。疾患啓発活動を一層強化して、早期受診、早期治療のスピードを早めたい」とコメントしている。
なお、今回の組織改編により、田氏の後任の医薬マーケティング部長に同部副部長の中台裕隆氏が同日付で就任した。