新薬8成分が承認 うち5成分がオーファン
公開日時 2012/04/02 04:03
厚労省は3月30日、新薬8成分を承認した。 うち5成分は難病や難治性のがんの治療薬などのオーファンドラッグだった。糖尿病治療薬で、週1回投与のGLP-1受容体作動薬も承認となった。6~7月ごろとみられる薬価収載を経て発売される。
承認された製品は以下のとおり。
【オーファンドラッグ】
▽ブレーザベスカプセル100mg(一般名:ミグルスタット、会社名:アクテリオン):「ニーマン・ピック病C型」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。
先天性の脂質代謝異常疾患で国内患者数16人のニーマン・ピック病C型の日本初の治療薬。この疾患は脂質が臓器や神経細胞に蓄積し、精神や運動能力の発達に遅れ、生命に危機を及ぼすが、この薬剤は蓄積する脂質の合成を阻害し、効果を発揮するとされる。
▽ポテリジオ点滴静注20mg(モガムリズマブ遺伝子組換え、協和発酵キリン):「再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。
ATLは化学療法のみの治療成績では完全寛解率は16~41%、生存期間中央値は3~13カ月という(国立がん研究センターがん情報センターHPより)。この薬剤は、ヒト化モノクローナル抗体で、成人T細胞白血病リンパ腫の患者の約9割に発現しているというCCR4に結合することで、ATL細胞を傷害し、効果を発揮するとされる。
協和発酵キリンによると、国内フェーズ2では、26人について主要評価項目である抗腫瘍効果で有効性をみたところ、奏効率は50%。完全寛解は8人、部分寛解は5人。無増悪生存期間は158日(中央値)だった。
CCR4タンパクを検出する臨床検査(協和メデックス)は4月に保険適用されることが決まっている。点数は1万点。
▽アポカイン皮下注30mg(アポモルヒネ塩酸塩水和物、協和発酵キリン):「パーキンソン病におけるオフ症状の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。
同剤の対象は主に進行期で、既存薬が効きにくくなっている患者。薬剤が効いておらず震えやこわばりなどの症状が再び現れる状態を指すOffの症状を短時間のうちに改善する速効性の短時間作用型の薬剤として開発された。対象患者は1万人程度とみられる。
▽ザーコリカプセル200mg、同250mg(クリゾチニブ、ファイザー):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。
ALK融合遺伝子陽性患者は全体の1割前後とみられ、国内では数千人程度という。ALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を抑制し、シグナル伝達を阻害することで腫瘍の増殖を抑制する世界最初の「ALK阻害剤」。患者に対するフェーズ1では116人に投与(日本人15人)し、奏功率は61%(CR2人、PR69人)と高い有効性を確認した。
ALK融合遺伝子を検出する臨床検査(アボットジャパン)は4月に保険適用されることが決まっている。点数は6520点。
▽プルモザイム吸入液2.5mg(ドルナーゼアルファ遺伝子組換え、中外製薬):嚢胞性線維症における肺機能の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。
患者数は年10~15人程度という。同剤はたんの粘度を低くし、排出しやすくするものという。
【オーファン以外】
▽キックリンカプセル250mg(ビキサロマー、アステラス製薬):「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
消化管内でリン酸と結合し体内へのリン酸吸収を阻害することで、血清リン濃度を低下させることが期待される。
▽ミニリンメルトOD錠120μg、同240μg(デスモプレシン酢酸塩水和物、フェリング・ファーマ):「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。
▽ビデュリオン皮下注用2mg(エキセナチド、日本イーライリリー):「2型糖尿病」を効能・効果とする新剤形・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(平成30年10月26日)。
同社が販売するGLP-1受容体作動薬バイエッタ皮下注と同成分の徐放製剤。バイエッタが1日2回投与なのに対し、ビデュオリンは週1回。海外では欧州で11年6月に、米国では12年1月にそれぞれ承認された。他社のGLP-1受容体作動薬にはノボノルディスクファーマのビクトーザ皮下注があり、これは1日1回。
訂正(2日12時20分)
ポテリジオの箇所で、誤字がありました。下線部を修正いたしました。