【高血圧学会リポート】HOMED-BP 家庭血圧の厳格降圧でイベント発生有意差示せず
公開日時 2011/10/26 04:03
家庭血圧値を厳格に降圧しても(降圧目標値:135/85mmHg未満)、通常降圧群(125/80mmHg)との間に、主要評価項目である脳卒中+心筋梗塞+脳心血管死亡の発生に有意差はみられないことが分かった。滋賀医科大学公衆衛生学の大久保孝義准教授は10月20日、家庭血圧を用いた世界初の長期降圧介入研究「HOMED-BP」の結果を発表する中で明らかになった。
HOMED-BP研究は、本態性高血圧患者を対象に2001年5月に登録を開始。早朝の家庭血圧を指標にCa拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ拮抗薬(ARB)を投与し、その指摘降圧レベルや予後を追跡したもの。平均追跡期間は5.3年で、最長追跡期間は8.9年。
5200例以上が登録され、最終的に3500例超が通常降圧群(家庭血圧降圧目標:135/85mmHg未満)と厳格降圧群(125/80mmHg未満)の2群に割付。2010年4月末に追跡を終了した。
追跡期間中の降圧目標達成率は通常管理群で3分の2だったが、厳格管理群では3分の1が目標達成に至らず、両群の平均血圧レベルの差は1mmHg程度だった。主要評価項目である脳卒中+心筋梗塞+脳心血管死亡の発生率は、両群とも1000人年当たり約3人で差は認められなかった。なお、イベント発症群は非発症群に比べ、ベースライン時の収縮期平均血圧値が有意に高値だった。
大久保氏らは、厳格降圧群で、多くの症例が降圧目標に至っていないことから、家庭血圧の収縮期血圧を125mmHg未満にすることの困難さが示されたと指摘。一方、135mmHg未満を目標に130mmHg程度に降圧することで、ハードイベントの5年リスクを1%以下に抑制し得る適切な降圧目標であることが示されたとした。
大久保氏は、これらの結果から「家庭血圧135/85mmHg未満を目標とし、130/75mmHg程度に降圧することは、実地臨床下で達成可能、かつ予後改善につながる可能性が示唆された」との見解を表明した。
なお、同試験の結果については、現在国際誌に投稿中としている。