2010年世界売上ランク 40億ドル以上は21製品 バイオ医薬品の成長目立つ
公開日時 2011/08/08 04:02
セジデム・ストラテジックデータのユート・ブレーン事業部はこのほど、世界の大型医薬品売上高ランキング2010をまとめた。世界売上が40億ドル以上だったのは21製品で、09年に比べて1製品増えた。具体的には、ノバルティスの抗がん剤グリベックと武田薬品のARBブロプレスが新たに40億ドルを超える一方、米国特許切れを迎えたサノフィの低分子へパリン製剤ロベノックス(日本名クレキサン)が37億2000万ドル(09年売上43億6000万円)となり、40億ドル超の製品が差し引き1つ増えた。また、バイオ医薬品は8製品で、バイオの売上が09年比で2ケタ成長したことも特徴だ。
世界の大型医薬品売上高ランキング2010は こちら
同事業部のランキングは、創製されたひとつの成分が世界でどれだけ売り上げているかを分析したもの。同一成分を販売している各社ブランド品売上げや創製メーカーのロイヤリティを含めた合計数値を用いている。
世界売上40億ドル超の21製品をみると、まず大型慢性疾患用薬では、スタチン製剤がリピトール(ファイザー/アステラス等)とクレストール(塩野義/アストラゼネカ)、ARBがディオバン(ノバルティス等)とブロプレス(武田薬品/アストラゼネカ等)の各2製品がランクインした。PPIは、欧米で3~4製品に後発品があるため、ネキシウム(アストラゼネカ)のみランクイン。その一方で、抗がん剤はロシュ/中外のリツキサン、アバスチン、ハーセプチンと、ノバルティスのグリベックの4製品が名を連ね、抗リウマチ薬ではバイオ医薬品のレミケード(J&J等)、エンブレル(アムジェン等)、ヒュミラ(アボット等)の3製品がランクインした。
◎バイオ医薬品は8製品
次に低分子医薬品とバイオ医薬品に分けてランキングをみると、バイオの成長ぶりが見て取れる。製品数では低分子が13製品、バイオが8製品――。ただ、合計売上と成長率は、低分子が823億3000万ドル、伸び率が4.3%増(34億ドル増)だった一方で、バイオは518億1000万ドル、同11.8%増(54億6000万ドル増)だった。
バイオの中で特に前述の3つの抗リウマチ薬の増加が顕著で、これら3製品だけで計221億ドル、同16.6%増(31億5000万ドル増)となった。抗リウマチ薬3製品だけでバイオ8製品の増加額の58%を占める。なお、2週間に1度の自己注射で済むヒュミラは、欧州全体でリピトールに次ぐ売上2位の製品となっている。
◎2011年問題 超大型品が相次ぎ特許切れ 11~12年に低分子ブランド品市場縮小へ
欧米で“2011年問題”と指摘されるように、これら40億ドル超の製品の中で11~12年に米国特許切れを迎える製品が複数ある。同事業部によると、1月には15位のネキシウムに欧州の一部の国で後発品が参入。そして10月には14位の統合失調症治療薬ジプレキサ(イーライリリー)が、11月には世界売上1位のリピトールが相次ぎ米国特許切れを迎える。さらに世界売上2位の抗血栓薬プラビックス(サノフィ/BMS)にはすでに欧州の多くの国で後発品が上市しており、加えて12年5月に米国特許切れを迎え、後発品が参入する見込みという。また、世界売上7位のディオバンも12年9月に米国特許切れとされる。
このような米国特許切れ・後発品参入に加えて、バイオ医薬品のような高価な新薬による薬剤費増を抑えるため、世界各国でより一層の後発品使用促進政策が取られていることも追い打ちをかけるようだ。特許切れした製品はもちろん、特許切れした同種同効の特許期間中の先発品も保険対象外とする動きがあるという。このため同事業部は、DPP-4阻害薬ジャヌビア(メルク)など一部製品しか売上急増が見込めないとして、「11年、12年の低分子薬市場は減少していくものと予想される」と分析している。
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