【ESCOリポート】J-STARS 1578例を登録 順調な進捗を報告
公開日時 2011/07/20 04:00

広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学(第三内科)教授の松本昌泰氏は、「J-STARS(Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke)」試験が2009年2月時点で1578例を登録し、順調に進んでいることをポスターセッションで報告した。
日本では、冠動脈疾患(CHD)のない虚血性脳卒中患者において、脂質異常症が脳卒中再発の危険因子であるか否かが明確になっていないのが現状だ。一方で、日本人の脂質異常症患者を対象にした「MEGA study」で、一次予防のエビデンスが構築されているほか、欧米人を対象にした「SPARCL」では、アトルバスタチンの高用量(80mg/日)の投与により、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の発症抑制効果があることも示されている。
試験は、日本人を対象に、プラバスタチン低用量(10mg/日)を投与することで、脳卒中の再発(二次)抑制効果が安全に得られるか、検討する目的で実施されている。主要評価項目は、一過性脳虚血発作(TIA)を含む脳血管イベントとした。
2009年2月時点で、国内123施設から1578例が登録され、平均3.2年間の追跡が行われているとした。なお、同試験では5~6年間(平均:5.5年間)の追跡を目指しており、2011年に中間解析を行う予定。
松本氏は、3月11日に起きた東日本大震災の被災地である東北地方10施設が同試験の実施施設であることも紹介。その上で、このような大災害後の困難な状況下においても、試験が順調に進捗していることを報告した。