高用量シンバスタチンのベネフィットと筋疾患リスクを天秤にかける
公開日時 2011/07/18 04:00
2011年6月に米食品医薬品局(FDA)が、高脂血症薬シンバスタチン高用量について筋疾患発症リスクを増大させる可能性があるとの理由で、高用量については12カ月以上服用している患者に制限することを求め、ラベル変更も行ったが、同剤はスタチン系のなかでもCYP3A4酵素系で代謝されるため薬物相互作用に敏感だという。今回、FDAが同剤使用制限の根拠としたSEARCH試験のデータでは、高用量シンバスタチン投与群では、アミオダロン、ジルチアゼム、アムロジピンとの併用群で筋疾患発症リスクが増大したことを示した。アミオダロン、ジルチアゼムについては、シンバスタチンの併用は10㎎まで、アムロジピンについては、20㎎までにラベル変更された。
FDAは高用量80㎎については、「常習的に」服用し臨床的に筋毒性の兆候が見られない患者にのみ推奨し、この場合には、同剤の心血管のベネフィットが筋疾患のリスクを上回ると判断している。
FDAは来年中にはデータを詳しく観察、安全性に関するラベルをさらに変更するか、高用量の制限が意図した効果を生んでいるか、また、シンバスタチンとの併用量の適正な指導を行いたい意向だ。FDAは、今後、エビデンスがこれらの措置により十分に効果を示していなかった場合、さらに、同剤高用量の市場からの撤退など追加措置を行う考え。
NEJM July 5、2011