アステラス 次期社長に畑中氏が内定 6月20日就任へ
公開日時 2011/04/26 04:02
アステラス製薬は4月25日、同日開催の取締役会で、畑中好彦上席執行役員(経営戦略・財務担当)が次期代表取締役社長に内定したと発表した。6月20日開催予定の株主総会を経て、同日に正式決定する予定。野木森雅郁社長は代表権のある会長に就く。
交代理由について野木森社長は、米国市場での主力品ハルナール、プログラフの特許切れ問題の見通しがつく一方で、10年度を底にした業績回復への布石を打ってきたことを挙げ、11年度からの成長への指揮は「若い世代にお願いしようと決心した」と説明。畑中氏は、茨木営業所(大阪)でのMR経験をはじめ、経営企画、海外事業と幅広い事業経験と国際的な人脈が豊富であることを挙げ「さらに変化の激しいアステラスのかじ取りにはうってつけの人材」と紹介した。
畑中次期社長は、自らの使命について、アンメットニーズの高い複数の疾患領域で国際的な新薬を創出する「クローパル・カテゴリー・リーダー」という同社の目指す姿を「確実に実現していくこと」と表明。とはいえ、その実現には多大な研究開発投資を要するとして、その確保と見合った新薬創出が最大の課題との認識を示した。同社は09年度に続き10年度も研究開発費比率が20%を超える見込み。
畑中氏の社長内定は順当とみられている。野木森氏と同様に藤沢薬品の出身ではあるが、役員になったのはアステラスになってから。その間、将来の会社像の策定や米国事業環境の変化への対応、中期経営計画の策定、近年のアライアンスにも直接関与するなど、野木森氏の経営判断をサポートしてきた。そのため畑中氏自身も社長昇格に対する覚悟はあったようで、同氏によると、野木森氏から3月末に社長就任の打診があった際「自ら体力、気力含め覚悟があるかと自問したあと、正式に指名があればお受けします」とその場で回答したという。
畑中氏は、80年3月に一橋大学経済学部卒業後、旧藤沢薬品に入社。アステラスが発足した05年の6月に執行役員経営企画部長に就任、06年4月からアステラスファーマUS社長兼CEOを経て、09年4月から現職。57年4月生まれの54歳(野木森氏の10歳下)。好きな言葉は「誠実」。趣味は街歩きで、街の変化、四季の移ろい、おいしいお店探しを楽しむという。