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多国籍大手によるインド企業買収  国民の医薬品アクセスに懸念

公開日時 2011/04/01 04:00

 多国籍大手製薬企業が新興国市場でのプレゼンス強化を図るため、インド企業の買収が相次いでいるが、インド衛生当局や現地製薬業界はインド国民の医薬品アクセスが脅威にさらされるのではないかとの懸念を持っている。


インドでは、2008年にFersenius KabiがDaburの腫瘍薬事業部門を2億1900万ドル、第一三共がRanbaxy を46億ドル、また同年、サノフィ・アベンティスがワクチンメーカー、Shanta Biotechを7億8300万ドル、2009年12月にはHospiraがOrchid Chemicalsの注射薬事業部門を4億ドル、2010年5月にはアボットラボラトリーズがPiramal Healthcareの国内事業部門を買収するなど多国籍企業によるインド企業の買収が続いた。


◎インド商務省は医薬品価格の上昇を懸念


インド商務省は、2010年8月に、「買収傾向が続くと、市場の寡占状態を生み、抗HIV/AIDS薬、C型肝炎治療薬などインドの公衆衛生に必要な医薬品の価格が上昇する」との懸念を示している。
インド政府も、低所得者層の医薬品のアクセスを妨げる恐れがあるとして、外資企業からの買収提案を「外国投資促進委員会」(FIPB)に慎重に審査させる必要があるとの見方を示している。審査で、外資に必要な医薬品については国民が買える価格にすることを保証させるような提案をしたい考えだ。財務省も医薬品アクセスが悪化することには懸念を示しているが、具体的な提案はまだ行っていない。


◎外資企業団体「成長市場は魅力的、買収の価値は高い」


一方、外資企業の団体、Organization of Pharmaceutical Producers of India(OPPI)は、「医薬品アクセスが妨げられ、医薬品の価格が上昇するという懸念は事実無根で残念なこと」とインド政府や現地業界の見方を否定している。
OPPI は「多国籍企業のインドでのシェアは5年前には15%だったが、いまや25%に到達している。年率10%台のうえの数字で成長する市場で外資には非常に魅力的で、買収の価値は高い」と指摘する。
The Center for Monitoring Indian Economyによると、2005年の外資による最終製品の輸入は1995年の9億5000万ルピー(約2億ドル)から約2.5倍の24億5000万ルピー(約5億ドル)に急成長している。


(The Pink Sheet  3月14日号より)  FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから


 

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