チオペンタール販売中止で波紋広がる米国の死刑執行制度(上)
公開日時 2011/01/31 04:00
アメリカで意外な薬剤がいま注目の的になっている。それが古典的麻酔薬として知られるチオペンタールナトリウムである。(ジャーナリスト・村上和巳)アメリカ国内でのチオペンタールナトリウムの供給元になっているのは、ジェネリックメーカーのホスピラ社(本社・イリノイ州レイクフォレスト)のみだが、同社が1月21日、突如その製造を中止すると発表した。この理由は、極めて政治的・社会的理由なものである。そもそもホスピラ社は製造施設の問題などから、同剤の製造をアメリカ国内からイタリアのロンバルディア州ミラノ県にある同社リスカーテ工場への移管を計画していた。しかし、これに対してイタリア当局が首を縦に振らなかった。というのも、チオペンタールナトリウムは、現在アメリカでは死刑執行の際の薬剤の1つとして使用されているから...