中医協の総会は11月26日、新薬12成分21品目を12月10日付で薬価収載することを了承した。統合失調症治療薬のインヴェガ（ヤンセンファーマ）には、投与開始時から効果発現用量で投与できることが評価され10％の加算（有用性加算２）。抗がん剤トレアキシンは、希少疾病用医薬品であることから10％の市場性加算に加え、既存薬の有効性が低いマントル細胞リンパ腫に対する高い有効性を認め15％の加算（有用性加算２）が認められた。国内２番目となる新たな糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬バイエッタ皮下注（日本イーライリリー）も収載。今回、算定の根拠となる類似薬がないとして５成分が原価計算方式で算定され、その中には国内初のドライアイ治療薬ジクアス（参天製薬）も収載されることになった。

薬価収載が了承された新薬は次のとおり。
▽インヴェガ錠３mg、同６mg、同９mg（一般名：パリペリドン、申請者：ヤンセンファーマ）効能・効果：「統合失調症」。薬価：３mg錠246.20円、同６mg452.80円、同９mg574.00円（いずれも１錠）（１日薬価452.80円）。市場予測（ピーク時10年後）投与患者数：20万人、販売金額：304億円。
加算の適用と理由：有用性加算２（10％）「これまでの類似薬では効果が現れるまで用量まで数週間かけい増量する必要があったところ、製剤上の工夫により、投与開始時から効果が現れる用量での治療を可能としたことから治療方法の改善が認められる」。

▽サムスカ錠15mg（トルバプタン、大塚製薬）「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」。15mg2525.70mg（１錠）。１日１回。市場予測（ピーク時10年後）11万人、27億円。
加算の適用と理由：原価計算方式（30％）「既存の治療薬では困難であった、塩類の排出を伴わない『水のみの利尿』を可能とした」新規作用と革新性を評価。

▽レボレード錠12.5mg、同25mg（エルトロンボパグ　オラミン、グラクソ・スミスクライン）「慢性特発性血小板減少性紫斑病」。12.5mg錠2610.00円、同25mg5141.80円（いずれも１錠）。１日１回。市場予測（ピーク時10年後）11万人、27億円。市場予測（ピーク時６年後）1400人、15億円。
加算の適用と理由：原価計算方式（20％）トロンボポエチン受容体作動による新規作用と革新性に加え「既存治療に対し抵抗性又は不耐容を示す患者への有効性が国内臨床試験で認められた」。

▽サイザル錠５mg（レボセチリジン塩酸塩、グラクソ・スミスクライン）「アレルギー性鼻炎など」。５mg錠121.90円（１錠）（１日薬価121.90円）。市場予測（ピーク時９年後）441万人、308億円。
加算の適用と理由：小児加算（５％）「最類似薬は小児加算を受けておらず、加算の用件に合致する。しかしながら、小児効能を取得している類薬が複数あることから限定的な評価とした」。

▽ミンクリア内服散布液0.8％（l-メントール、日本製薬）「上部消化管内視鏡検査における胃蠕動運動の抑制」。20mL１筒858.00円。市場予測（ピーク時10年後）587万人、50億円。
加算の適用と理由：原価計算方式（５％減算）「院内製剤として調製されていた液剤を製剤化したものであり、革新性が高いとは言えない。しかし、開発に当たっては、種々の製剤的検討を行い、澄明性、長期の安定性等を実現したものであることから、減算率を５％にとどめた」。

▽マキュエイド硝子体内注用40mg（トリアムシノロンアセトニド、わかもと製薬）「硝子体手術時の硝子体可視化」。40mg１瓶8066円。市場予測（ピーク時２年後）6.1万人、4.9億円。
加算の適用と理由：原価計算方式（５％減算）「院内製剤として調製されていた液剤を製剤化したものであり、革新性が高いとは言えない。しかし、開発に当たっては、種々の製剤的検討を行い、眼組織への影響を避けるため添加剤を含有しない製剤としたものであることから、減算率を５％にとどめた」。

▽バイエッタ皮下注５μgペン300、同10μg（エキセナチド、日本イーライリリー）「２型糖尿病（ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤（ビグアナイド系薬剤またはチアゾリジン系薬剤との併用含む）を使用しても十分に効果が得られない場合に限る）」。５μg、10μg共に9661円。市場予測（ピーク時４年後）7.1万人、156億円。加算なし。

▽トレアキシン点滴静注用100mg（ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬）「再発または難治性の、低悪性度Ｂ細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫」。100mg１瓶９万2356円（１日薬価１万6782円）。市場予測（ピーク時10年後）1036人、22.2億円。
加算の適用と理由：有用性加算２（15％）「国内臨床試験において高い奏功率及び１年無増悪生存率がみられたこと、既存薬の奏功率が低いマントル細胞リンパ腫に対して高い奏功率が認められた」ことなどによる。市場性加算１（10％）「希少疾病用医薬品である」。

▽クラビット点滴静注500mg／20mL、同バッグ500mg／100mL（レボフロキサシン水和物、第一三共）「肺炎など」。500mg／20mL１瓶5222円、500mg／100mL１キット5326円。市場予測（ピーク時７年後）56万人、71億円。加算なし。

▽ジクアス点眼液３％（ジクアホソルナトリウム、参天製薬）「ドライアイ」。３％５mL１瓶623.40円。市場予測（ピーク時10年後）161万人、50億円。原価計算方式、加算なし。

▽ネバナック懸濁性点眼液0.1％（ネパフェナク、日本アルコン）「内部眼手術における術後炎症」。0.1％１mL186.20円（１日薬価27.90円）。市場予測（ピーク時４年後）38万人、3.5億円。加算なし。

▽ワンデュロパッチ0.84mg、同1.7mg、同3.4mg、同５mg、同6.7mg（フェンタニル、ヤンセンファーマ）「中等度から高度の疼痛を伴い各種がんにおける鎮痛」。0.84mg564.60円、1.7mg1063.60円、3.4mg1982.50円、５mg2803.30円、6.7mg3646.30円。市場予測（ピーク時５年後）７万人、107億円。加算なし。