ボストンコンサルティンググループパートナー＆マネージング・ディレクター植草徹也日本の医療機関の競争力は本当に高いのか？わが国は、1960年代以降の高度成長期を起点として世界に冠たる医療システムを作りあげてきた。システムとしては国民皆保険制度、ならびにフリーアクセス。アウトカムとしても、男女共に世界有数の寿命を誇っている。また、財政上の負担にしても、これだけの高齢化が進みながら、2006年時点で国民医療費をGDPの8.1%に抑制しているのは、驚異的と言ってもよい。欧米先進国では、ドイツ、フランス、スイス、カナダなどの国民医療費がGDPの10％を超えている。米国では、国民の3分の１が無保険者で、しかも医療費がGDPの15％以上となって、大きな改革を余儀なくされた。こうした観点からすれば、日本の医...