流改懇 医療機関側は「直取」提起、卸は早期妥結でインセンティブ検討を
公開日時 2010/07/29 04:02
厚生労働省医政局経済課は7月28日、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)を開き、医薬品流通の現状をテーマに議論した。医療機関側からは、後発品の流通について、製薬企業と医療機関・調剤薬局の直接取引を求める声があがったほか、医薬品卸からは、医薬品価格の早期妥結のため、インセンティブなどを検討する必要があるのではないかとの提案があった。
厚労省は、約1年ぶりに流改懇を開催したことを踏まえ、医薬品流通の近況について報告。製薬企業、医薬品卸のいわゆる「川上の問題」については、仕切価格の早期提示や割戻し、アローアンスの縮小に一定の効果を上げていると評価する一方、一次売差のマイナスが続いていることに問題意識を示した。
医薬品卸と医療機関・調剤薬局の「川下の問題」については、2007年度と、09年度を比較すると、全体として早期妥結の実現と、全品総価取引の減少につながったと評価。一方で、依然として公的医療機関を中心に、長期未妥結が続いているとした。経済課は、「緊急提言以降、一定の改善効果が見られるが道半ばだ」と総括した。
◎小山氏「時代も変わっている。ダイレクトの取引あってもよいのでは」
同日の議論では、医療機関側委員から、いわゆる卸中抜き論、製薬企業と医療機関・調剤薬局との直接取引についての言及があった。小山信彌委員(日本私立医科大学協会)は「後発品などでは、直接取引でも良いと思う。何でも医薬品卸経由が良いというのではなく、時代も変わってきており、発展形態としてダイレクトの取引があってもよいのではないか」と問題提起した。これに対し、製薬企業、薬局などの委員は、「日本の医薬品流通は世界に冠たるもので、全幅の信頼を置いている」「急配や情報提供などで助かっている。医薬品卸がないと国民に必要な医薬品が届かない」などと慎重意見も寄せられ、議論は平行線をたどった。
◎松谷氏「妥結6か月超はペナルティー」
未妥結仮納入の是正については、松谷高顕委員(日本医薬品卸業連合会)が、「緊急提言では、6カ月を超えると長期未妥結と定義している。ひとつの考えとして6カ月以内に妥結すればインセンティブ、それを超えたらペナルティーということは考えられないか。手前味噌が通るとは思わないので、流改懇で議論してもらいたい」と要望した。
これに対し、嶋口充輝座長は、「インセンティブというのは、良いところにあげるのか、ディスインセンティブにするのか、また金銭的なのか非金銭的なのか。非金銭的であれば、早期妥結先を公表するやり方もあるが、金銭的だと誰が誰に対してどのように負担するのかという問題もあるので、今後、流改懇として議論を深めて行きたい」と引き取った。
このほか、三津原博委員(日本保険薬局協会)が、製薬企業が医薬品卸に売る、「仕切り価格」が機密情報としてブラックボックスになっているとして、「(これが明らかにならなければ)いくら議論をしても前に進まない」と発言。仕切り価格をある程度把握できれば、流通改善につながるのではないかとの見方を示した。