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解説:SPECIAL-NMS試験実施の背景

公開日時 2010/03/11 10:00
ACC/AHAのガイドラインでは、不安定性狭心症や心筋梗塞(MI)の回復期において、特に禁忌でない限り、すべての患者にβ遮断薬を投与するよう推奨している。一方、Ca拮抗薬は、クラスI薬剤に指定されてはいるものの、β遮断薬禁忌あるいは不耐などのためにβ遮断薬を投与できず、かつ心筋虚血のある患者に限って処方が許されているのが現状だ。
これに対してわが国では、Ca拮抗薬の処方が極めて多い。日本人は冠攣縮を起こしやすいとされ、その抑制に有効なCa拮抗薬が好まれる一方、発作頻度を増加させるなど、症状を悪化させることもあるβ遮断薬が避けられがちであるためだ。しかし国際学会などでは、海外の研究者や医師から、Ca拮抗薬多用について、疑問視される場面もしばしばある。

こうした中、日本人MI患者をβ遮断薬とCa拮抗薬とにランダム化したJBCMI試験では、両群における心血管イベント発症率に差はないとの成績が示された。ただし、その後、β遮断薬群で心不全や冠攣縮性狭心症の頻度がわずかではあるが高かったことなど、Ca拮抗薬が効きやすいとされる冠攣縮性狭心症患者が、相当数試験に組み込まれていた可能性も否めないことが示唆されていた。


    
“冠攣縮性狭心症”の英語表記“Vasospastic Angina”に統一へ

 
共同座長で東北大学の下川宏明氏より、“冠攣縮性狭心症”の英語表記として、日本循環器学会ではこれまで“Coronary Spastic Angina”を用いてきたが、複数の研究者より、「英語圏では用いられていない」との指摘があること、“angina”自体がmyocardial ischemia caused by coronary abnormalityの意であり、coronaryが二重となる不自然な表現であることから、今後、英語圏で一般的に用いられている“Vasospastic Angina”で統一するとの説明がなされた。 
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