【薬価改定の各社影響】国内上位3社と外資大手は6~7%台 内資明暗分ける
公開日時 2010/03/08 04:02
4月1日に実施される薬価改定が3月5日に告示された。製薬各社の薬価改定による影響率は、武田薬品、アステラス製薬、第一三共の国内大手や、ファイザーなど外資大手で業界平均を上回り、6%強のアステラスを除いて、7%台となった。国内メーカーではばらつきが大きく、明暗を分ける結果となった。
今改定は1万5455品目に対し行われ、薬価ベースで5.75%(医療費ベース1.23%)引き下げられる。これにより医薬品市場は約5000億円が失われる計算となる。そこで本誌は製薬各社ごとの影響などをみるため調査を実施、5日までに回答のあった46社を集計した。その結果、外資系はおおむね7%台かそれ以下だが、国内メーカーは4%から9%と、ばらつきが目立った。
国内大手の中でもエーザイの影響率は4%台半ばの最低水準だった。最主力の認知症用薬アリセプトに新薬創出加算が適用されて汎用規格のD錠(口腔内崩壊錠)5㎎では1.5%の改定率にとどまったうえ、国内売上高に占める長期収載品の比率も10%台半ばと低いことが背景にあるとみられる。5%台の田辺三菱製薬も、最主力品の関節リウマチ治療薬レミケードが新薬創出加算の適用を受け、薬価が維持された。
国内準大手に位置する大日本住友製薬は、9%強の影響を受けることとなった。戦略4製品のうち降圧剤アムロジンと抗生物質メロペンが、通常改定に加え、特例引き下げと2.2%の追加引き下げも加わり10%を超える引き下げを受けたことが響いた。長期収載品比率も60%半ばに上る。長期収載品比率が80%程度の持田製薬も影響率は8.7%と高水準で、高脂血症などに用いる最主力品のエパデールが2.2%の追加引き下げの対象となった。
今回の薬価改定で試行的に導入された新薬創出加算は、厚生労働省によると、337成分624品目に適用され、これは後発品のない先発品全体の約33%にあたる。適用品目のほぼ半数にあたる303品目で薬価が維持された。会社別の適用品目数トップ10のうち、9社が外資メーカーで(中外製薬は外資扱い)、トップはグラクソ・スミスクラインの30成分58品目。業界で従前から言われていた同加算は外資に有利の指摘を裏付けた。この中で唯一の国内メーカーは3位のアステラスで14成分30品目だった。
新薬創出加算の一方で、後発品の普及が十分進んでいないとして実施された長期収載品の2.2%追加引き下げを受けたのは513成分1472品目に上った。また、今回も市場拡大最算定が実施され、各社主力品級の5成分8品目が10%を超える引き下げを受けた。改定率は以下のとおり。
糖尿病用薬アクトス(武田薬品)15mg錠=14.2%、30mg錠=14.1%
抗がん剤グリベック(ノバルティス)100mg錠=12.1%
抗がん剤タシグナ(ノバルティス)200mgカプセル=14.6%
抗がん剤スプリセル(ブリストル・マイヤーズ)20mg錠=14.6%、50mg錠=14.6%
抗がん剤 ハーセプチン(中外製薬)60mg=18.0%、150mg=17.9%
(資料・各社別の影響率) 【資料】各社の2010年度薬価改定影響率