腎細胞がん治療薬 mTOR阻害剤
公開日時 2010/02/25 00:00
分子標的薬の登場で、一躍注目を集めた腎細胞がん治療。分子標的薬による高い治療効果が得られた一方で、投与から約1年程度経過すると、治療抵抗性となってしまうことから、新たな薬剤の登場が待たれていた。近く臨床現場に登場する新規作用機序のmTOR阻害剤は、患者の全生存期間(OS)の延長が見込め、さらには患者のQOL向上にも寄与する期待の新薬と言えそうだ。(望月英梨)mTOR阻害剤は、腫瘍細胞の分化・増殖、細胞代謝、血管新生にかかわる“mTOR”を選択的に阻害する分子標的薬だ。腫瘍細胞の増殖抑制と、血管新生阻害の2つの作用機序により、抗腫瘍効果を発揮する。一般に腫瘍細胞では、細胞増殖を司るシグナル伝達が過剰に亢進し、この結果として腫瘍細胞から血管新生因子(VEGF、PDGF)が放出され、血管新生が促進...