アステラス 新規抗真菌薬の日本外の独占権取得 日本は8月まで検討
公開日時 2010/02/25 04:01
アステラス製薬は2月24日、スイスのバシリア ファーマシューティカ インターナショナル社の抗真菌薬イサブコナゾール(一般名)について、日本を除く全世界での独占的開発・販売権に関する契約を締結したと発表した。日本の権利についてはアステラスが8月まで優先交渉権を持っており、日本の市場規模や開発環境などを踏まえて、ライセンス契約を結ぶか決める。
日本を除く世界での契約により、アステラスはバシリアに対して総額5億5300万スイスフラン(約459億円)の一時金を支払う可能性がある。内訳は契約一時金として7500万スイスフラン(約62億円)を支払うほか、開発や販売マイルストンの達成に伴い4億7800万スイスフラン(約397億円)の一時金を支払う可能性がある。また、売上に応じて漸増する2桁台のロイヤリティも支払う。
同剤は新規のアゾール系抗真菌薬で、注射剤と経口剤で開発されている。バシリア社が現在、米欧などで侵襲性アスペルギルス症患者やカンジダ血症患者を対象にフェーズ3試験を行っているが、今後、アステラスが中心となって開発を進める。これまでの試験結果から用量依存的な薬物動態で有効な濃度に到達することが示唆されているという。日本では開発に着手していない。
侵襲性の真菌感染症は生命危機にかかわる重篤な感染症。特にがん患者や移植患者などの易感染性の患者で、主にカンジダ属やアスペルギルス属による真菌感染症リスクが高く、そのことが30~90%の高い死亡率に関係しているという。有効性の高い抗真菌薬による早期の治療で死亡率が減少するとされている。