新薬創出加算 円滑実施に向け医療現場へ周知 製薬協・庄田会長表明
公開日時 2010/02/01 04:02
日本製薬工業協会の庄田隆会長(第一三共社長)は1月29日、東京都内で行われた定例会見で、4月から試行導入される「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の周知徹底に向け、同加算の意義や目的をまとめた小冊子を作成し、加盟各社に提供すると表明した。各社MRの同加算に対する理解促進につなげるとともに、MRが医療関係者に同加算の意義を説明できるようにしたい考え。
同加算は60年の薬価基準制度史上初の薬価改定を経ても薬価が下がらない仕組み。具体的には、一定要件を満たした特許期間中の新薬について、同加算によって改定前薬価の水準に戻すもの。当該新薬に投じた研究開発費の回収を速めることで、次の新薬開発を加速させ、国内の未承認薬・未承認効能問題を含むドラッグ・ラグの解消や、日本発の新薬創出につなげるという狙いがある。
今回は、長期収載品の薬価を大きく引き下げることも併せて実施、新薬を生み出せない企業が厳しい経営を強いられる側面もある。それでも調剤薬局を含む医療関係者からは、「製薬企業がさらに儲けている」など同加算の主旨に反する理解をされ、値引き要求が強まり、過大な薬価差を生むなど、同加算が形骸化するおそれもある。このため、製薬企業や卸だけでなく、医療関係者の同加算への理解が重要と判断し、小冊子の配布など周知活動に取り組むことになった。
一方、庄田会長は会見で、同加算が今回試行導入にとどまっていることから、「(次々回の薬価改定年度となる)12年度に恒久的な制度として本格実施されるよう取り組みたい」と強調。喫緊の課題となっている未承認薬・未承認効能問題に対して、各社が同加算を原資に真摯に対応する必要性を訴えた。
また、同加算は、後発品使用促進による財政効果によって過度に医療費が膨らまないスキームだが、今回の試行導入では、後発品の使用が想定よりも進んでいないため長期収載品の薬価を2.2%追加で引き下げた。庄田会長は、「(財源捻出の観点から後発品と長期収載品を)本来はリンクさせるべきものではないと訴えたい」と述べ、12年度の本格実施に向けて長期収載品の追加引き下げを行わないよう求める姿勢を見せた。