国内大手製薬トップ年頭所感 「2010年問題」への危機意識強く
公開日時 2010/01/07 04:02
国内大手製薬企業トップの年頭所感は、米国市場で主力品が特許満了を迎える「2010年問題」に対する危機意識が強くにじんだものになった。
武田薬品は、糖尿病薬アクトス、降圧剤(ARB)ブロプレスがそれぞれ11年、12年には特許満了を迎える。長谷川閑史社長は、「特許満了による主要製品の売上の減少をいかに補っていくかが当面の最大の課題」と表明。アンメット・ニーズを満たす新薬の創出、次世代の創薬基盤技術の実用化、国際競争力強化に着実に投資していく姿勢を示した。
アステラス製薬は、免疫抑制剤プログラフ、排尿障害改善剤フローマックスがGEとの競合が本格化する。野木森雅育社長は「これまでにない困難に直面している」と指摘。「次の成長ステージへ進めるためには、従来の延長線上ではない対応が求められる」と、社員に呼びかけた。
エーザイは、PPIのアシフェックスは、特許満了はまだ先だがPPI市場でのGEに押され気味で、アリセプトは10年に特許満了となる。内藤晴夫社長は、その現実を日米欧亜の各地域が見据え、「役割をしっかり果たしていく」ことが重要と強調。今年は「大いなる節目の1年」とし、抗がん剤、敗血症治療薬の2新薬を含む4製品の上市に向け「準備してきたイノベーションを成果に結びつける1年とする」と表明した。
第一三共は、主力の降圧剤オルメサルタンの特許満了が16年と「2010年問題」が他社に比べ差し迫ったものにはなっていない。ただ、ランバクシー買収により新興国を含め55ヵ国に拠点を持つグループとなったことから、庄田隆社長は、相乗効果を高めることを課題に挙げた。
1月6日には東京医薬品工業協会などによる「薬業四団体新年賀詞交歓会」が都内ホテルで行われ、東薬工の樋口達夫会長(大塚ホールディングス社長)は主催者を代表してあいさつし、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」を柱とする来年度薬価制度改革が「薬価に起因する負のスパイラルから抜け出し、ドラッグ・ラグの解消、革新的新薬の創出につながるきっかけ」になるとの認識を示し、業界が「今まさに新しい一歩を踏み出そうとしている」と期待感を寄せた。