ロシュは、ロシアのバイオベンチャー企業Viriomと前臨床段階にある非ヌクレオシド系逆転写阻害剤(NNRTI)ならびにHIV薬開発技術(Viriom取締役会への人材派遣含む)の導出契約をこのほど締結した。
Viriomは同剤のロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンでの開発・商業化権を取得、ロシュに対して売上に応じロイヤルティを支払う。ロシュは、他地域での権利を留保するほか、Viriomの臨床試験データを利用できる。
ロシュは今回の契約締結でロシアでのプレゼンス強化とロシアのバイオ産業育成強化を図るロシア政府との関係強化も視野に入れている。
Viriomは、米サンディエゴのTorrey Pine Investmentなど投資会社が設立した非政府ビジネス・インキュベーターのChemRarにより今年設立された。ロシアには、伝統的な米国スタイルのバイオベンチャーは存在せず、政府資金あるいは海外からの投資によるベンチャーが主流。
ロシアの医薬品市場は2008年には110億ドル規模に成長、2012年までに200億ドルに成長すると見込まれている。IMSは、ロシアを中国とともに最も成長が目覚しい国と位置づけている。
ロシアにはロシュばかりでなく大手製薬企業が参入している。サノフィアベンティスは1970年に参入、現在、売上第2位を誇っている。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、ロシア大手のPharmstandardに抗がん剤ベルケード(ボルテゾミブ)の販売権を供与している。