米下院 医療改革法案 僅差で可決
公開日時 2009/11/12 04:01
論点が分かれ、成立が危ぶまれていた米国の医療保険改革法案(Affordable Health Care for America Act, H.R.3962, House Vote 887)が11月7日僅差で可決され、下院を通過した。
下院での投票結果は賛成220、反対215。共和党から賛成票1票が投じられたこと(共和党はこの1票をのぞく全員(176人)が反対票を投じた)、そして258人いる民主党員の投票結果が賛成票219と反対票39とに分かれたことは、ともに興味深いものとなった。わずか5票差という僅差での可決は、医療制度改革についての意思統一の難しさをくっきりと象徴する結果といえる。が、前途多難を思わせるのは賛否拮抗した得票結果の数字ばかりではない。
下のURLには、賛成、反対各票を投じた下院議員それぞれの出身選挙区が色分けして示されている。改革法案支持票を投じた議員の選挙区はブルー、反対票を投じた議員の選挙区は赤で塗り分けられている。一見して明らかな通り、賛成票を投じた議員の選挙区のほとんどは米国東西海岸沿いの都市部に集中していることがわかる。しかも面積比でみると、反対派の地盤となっている州の方が圧倒的に数多く、そして広いことがわかる。
制度改革に大統領府が強力なリーダーシップを発揮し、行政主導も辞さない構えのオバマ大統領だが、しかし、米国の医療制度はそのほとんどが州法の管轄下にあることも事実。改革実現のまではまだしばらくの道のりがありそうだ。
(メディカル・ジャーナリスト 西村由美子)