武田薬品・長谷川社長 M&Aなどの事業開発 より積極的に取り組む
公開日時 2009/11/02 04:00
武田薬品の長谷川閑史社長は10月30日、東京本社で開いた決算説明会で、M&Aなどの事業開発と事業活動の効率化に、これまで以上に積極的に取り組むと表明した。具体策を近く発表する考え。最主力の糖尿病薬「アクトス」の米国特許切れが11年1月に迫る中で、明確な中長期の成長戦略を描き切れていないことが背景にある。長谷川社長は、ダーウィンの種の起源の一節「強いものや賢いものが生き残ったのではなく、変化に懸命に対応したものが生き残った」との言葉を、「今一度肝に銘じたい」と述べるとともに、「経営陣一同、覚悟を新たにしている」と語った。
アクトスの後継候補で、次期最主力品と期待していたDPP-4阻害型の糖尿病薬SYR-322は米国で追加試験が求められ、上市は最短で12年3月の見込みとなっている。長谷川社長は説明会で、「主力製品が特許切れに置かれる中で、これに対する答えがまだ明確でないジレンマがある。事業体質の強化・効率化の追求と、ビジネスデベロプメント(=事業開発)の強化・加速で何としても乗り越えたい」と強調した。
事業開発については、単純な規模拡大のためのM&Aは行わず、研究開発パイプラインの強化や進出・未進出地域でのプレゼンスの向上が得られるM&Aを志向するとし、「いいターゲットがあれば積極的に検討し、場合によっては前に進めたい」と話した。海外展開では、ロシアと中国の足場固めに強い関心を示した。
一方、同社の10年3月期第2四半期決算(4-9月)は、円高によって売上高で516億円、営業利益で152億円が、それぞれ目減りした。その結果、連結業績は減収となったが、利益は前期に米ミレニアム社買収に伴う経費を計上した関係で、今期は各利益段階で大幅な増益となった。また、通期業績予想は、売上高で当初計画より200億円下方修正した。
〔連結業績(前年同期比)通期予想(前年同期比)〕
売上高 7554億5300万円(6.4%減)1兆4800億円(3.8%減)
営業利益 2425億2700万円(185.2%増)3950億円(28.9%増)
経常利益 2549億500万円(152.4%増)4000億円(22.2%増)
純利益 1896億3400万円(164.2%増)2800億円(19.5%増)
〔国際戦略製品売上高(前期実績)、億円〕
リュープロレリン592(651)
ランソプラゾール 1320(1491)
カンデサルタン 1124(1194)
ピオグリタゾン 1948(2032)
〔国内売上高(前期実績)、億円〕
ブロプレス 684(676)
タケプロン 375(342)
リュープリン 338(329)
アクトス 265(237)
ベイスン 226(241)
エンブレル 156(130)
ベネット 89(80)
セルタッチ 57(61)
グロベニン-I 53(44)
乾燥弱毒性麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」 52(49)
リウマトレックス 46(42)
ダーゼン 31(31)
パンスポリン注 29(38)
ファーストシン 28(30)
プロスタール 24(25)