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ネクサバール 肝がん領域3テーマで新たな治験実施へ

公開日時 2009/06/07 23:00

バイエル薬品が販売する分子標的薬ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)を用い、日本人を対象に肝がん領域での新たな治験が行われることになった。同剤は5月20日に「切除不能な肝細胞がん」の適応を取得しているが、今回行われる治験では、▽術後補助(アジュバント)療法の有用性▽肝動脈化学塞栓療法(TACE)後に同剤を投与することの有用性▽肝動注化学療法との併用の有用性--を検証する。

これは、近畿大医学部消化器内科の工藤正俊教授が5日に神戸市で開催された第45回日本肝臓学会総会のランチョンセミナー(バイエル薬品共催)で明らかにしたもの。アジュバント療法としての有用性を検証するのは「STORM」試験と呼ばれ、臨床第3相試験として日本のほか欧米、南米などで実施される。肝切除または経皮的ラジオ波凝固療法(RFA)、経皮的エタノール注入療法(PEI)後の患者1100人を対象に、ネクサバール投与群とプラセボ投与群に分け、治療効果を比較する。日本では早ければ年内にも試験をスタートさせる。欧米と同時承認を目指す。

TACE後の同剤の有用性を探るのは「POST-TACE」試験と呼ばれ、臨床第3相試験として日本のほか韓国で実施される。TACEの実施により腫瘍が25%以上縮小または壊死している症例を対象にネクサバール投与群207例、プラセボ投与群207例に分け、治療効果を比較する。年内中のキーオープンを目指す。肝動注化学療法との併用の有用性を探る試験については、シスプラチンとの併用効果を探る試験と、シスプラチン+5-FUとの併用効果を探る試験が進行中。

工藤教授は、これら治験について安全性に留意することの重要性を強調。高血圧クリ―ゼなど「副作用は予想できないものがある」とし、「安易に併用はせず、きちんと安全性を考慮して行う」と述べた。

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