内藤エーザイ社長 「オンコロジー・ビジネスへの進出を確たるものに」
公開日時 2007/12/11 23:00
エーザイの内藤晴夫社長は12月10日、米MGIファーマ買収の記者会見で「オン
コロジー・ビジネスへの進出を確たるものとする」と狙いを説明。また、米国
市場での最大の懸念である2010年のアリセプトの特許満了による業績への悪影
響を「ほぼ克服できる」と強調した。今後はがん領域のみならず、アルツハイ
マー領域でも買収を検討することも明らかにした。
内藤社長は「当社の保有する研究テーマや技術と重なりがなく、相乗効果が期
待できる。細胞分化誘導を含む低分子医薬、DNAワクチンを含む免疫療法、支
持療法の全ての研究にアプローチでき、フル装備化が可能になる」と評価した。
MGIの主力品には制吐剤Aloxi、骨髄異形成症候群治療薬Dacogenがあり、発売
以来、順調に売上を拡大中。ピーク時の売上として各7億5000万ドル、5億ド
ルを見込む。MGIは今後5年間、売上高で平均35%以上の成長を見込んでおり、
買収で期待される成果に挙げられている。
MGIは79年に創立されたがんと救急治療分野に強みを持つ製薬企業で、従業員
数540人。この2領域に販売部隊を有し、マーケティング、メディカルアフェ
アーズも含めた人員は236人。エーザイが米国で展開するオンコロジー・チー
ムとホスピタル・チームと統合させて、強力な販売体制を構築することで、売
上の成長を加速させる。
エーザイは米国で開発中の抗がん剤「E7389」(乳がんでフェーズ3)の上市
に際して、数十人から100人規模のMRの雇用を検討していたが、MGI買収で追加
雇用の回避が可能になるなどコストシナジー効果が得られるという。
エーザイは中計で11年度に米国市場で4400億円、連結売上高1兆円の達成を目
指しているが、内藤社長は「MGIの買収で、その達成に強い自信を持っている」
と述べた。06年10月にライガンド社の抗がん剤、07年4月にはモルフォテック
社の買収により、がん領域の研究開発力や事業展開の強化を進めてきた。