エーザイ 脳血管性痴呆試験、「アリセプトの安全性は不変」と強調
公開日時 2006/03/16 23:00
エーザイは3月16日、アリセプトについて脳血管性痴呆(VaD)患者を対象に
海外9ヵ国で実施した臨床試験(319試験)の結果を発表した。「プラセボ群
で死亡例がないというまれな事象」が起きたため、アリセプト投与群の死亡率
(1.7%)がプラセボ群を上回る結果になった。エーザイでは「各国の規制当
局に対し、今回の結果がアリセプトの安全性に対する評価を変えるものではな
く、承認されている適応症での有用性は引き続き良好との見解を報告した」と
説明している。
319試験では、アリセプト群で11人(648人中)が死亡したのに対し、プラセボ
群にはいなかった(326人中)。アリセプト群の死亡率(1.7%)は、過去2つ
のVaD患者を対象とした臨床試験(307試験と308試験)の合計のアリセプト群
(1.7%)と同等であり、VaD患者の死亡率に関する疫学的統計との比較からも
低い値という。
エーザイはFDAに対し、VaDの適応で承認申請(307試験と308試験)していたが、
承認しない旨の通知を受領し、319試験を行った経緯がある。有効性に関して
は、認知機能で統計的に有意な改善が認められた一方、全般臨床症状では認め
られなかったという。今後詳細な解析を行い、各国規制当局と協議していく。
有効性に関して307試験では319と同様の結果。308試験では認知機能、全般臨
床症状とも統計的有意差が出ていたという。307試験と308試験では認知機能の
主要指標としてADAS-cogを使ったが、319試験ではV-ADAS-cog(バスキュラー・
アルツハイマーズ・ディジーズ・アセスメント・スケール-コグニティブ・サ
ブスケール)を使った点が異なる。