厚生労働省は５月30日、現行の日本脳炎ワクチンの使用と重度のADEM（急性散
在性脳脊髄炎）との因果関係を肯定する論拠が示されたとして、定期の予防接
種では日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨を差し控えるよう、都道府県を通じ
て市町村に勧告した。保護者が特に接種を希望する場合には、効果と副反応を
説明し、同意を得た上での予防接種は、差し支えないとした。

予防接種による健康被害のうち、ADEMは「予後は良好」とされてきたが、日本
脳炎ワクチン以外での、予防接種法に基づく被害救済例は89年度以降、２例な
のに対し、同ワクチンによるものは14例で、うち５例が重症。厚労省は、「よ
りリスクが低いと期待される組織培養法によるワクチンの供給体制ができたと
きに接種勧奨を再開する」としている。