画竜点睛を欠く 新薬価制度改革論議で深まる懸念
公開日時 2009/06/30 00:00
医薬品業界首脳は、批判的な眼差しを向ける人たちの面前で竜を描いてみせた。それを見た人たちは一目置き、その場を提供したお役人は「丁寧に描けている」とほめた。描いた首脳らも満足げであった。日本製薬団体連合会が提案した薬価維持特例を柱とする新薬価制度の実現の成否がかかる天王山と言われた6月3日の中医協薬価専門部会の業界ヒアリングは、そんな印象だ。特例の実現に的を絞った一点突破戦略は功を奏し、大きな前進を見たといえる。しかし、その戦略ゆえ置き去りされたものがある。そのため、画竜点睛を欠く−−そう懸念される事態も浮上している。薬が出る喜びが辛さに変わるとき薬価維持特例で起こりうる懸念が、既に現実となっているのではないか。多発性骨髄腫治療薬として昨年承認されたサリドマイドを巡ってである。若干の説明が必要...