塩野義製薬は３月27日、経口新型コロナ治療薬・ゾコーバ錠125mg（一般名：エンシトレルビル フマル酸塩）について、日本で曝露後予防の適応追加を申請したと発表した。曝露後予防は、新型コロナウイルス感染者との接触などウイルスに感染した可能性が生じた際に、発症前に治療薬を投与することで感染症の発症を防ぐ治療行為のこと。承認されれば、ゾコーバは曝露後予防の適応を持つ初の経口抗ウイルス薬になる。

インフルエンザでも曝露後予防（＝予防投与）の適応で承認されている抗ウイルス薬があるが、いずれも保険適用外となっている。塩野義製薬は本誌に、ゾコーバの曝露後予防の保険適用を目指すのかについて、「現時点でコメントできることはない」と答えた。

塩野義製薬は、ゾコーバによる新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の発症抑制効果を検証することを目的とした、日本を含むグローバル第３相曝露後発症予防試験（SCORPIO-PEP試験）を行った。同試験はCOVID-19患者の同居家族又は共同生活者（12歳以上）を対象に実施したもの。

主要評価項目の「治験薬投与開始から10日間以内に新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に感染しCOVID-19症状を発症した被験者の割合」について、ゾコーバ投与群はプラセボ投与群と比較して、統計学的に有意な低下を示した。安全性面で新たな懸念は確認されなかったとしている。