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国立大学病院長会議 電子カルテシステムの価格高騰を問題視 診療報酬での対応など国の支援求める

公開日時 2025/03/21 04:50
国立大学病院長会議は3月7日の記者会見で、電子カルテシステムへの支払金額や、国立大学病院の医師の給与実態などを報告し、国立大学病院の厳しい環境に理解を訴えた。特に電子カルテシステムの更新時における価格高騰が病院経営に与える影響は大きいと問題視され、診療報酬での対応など国による支援が必要としている。

◎電カル運用の年間支払額 物価や労働力の高騰を背景に2024年頃の5.7億円から2034年には7.9億円へ

会見で大鳥精司会長(千葉大学附属病院病院長)は、電子カルテシステム運用における年間の支払い金額が、物価や労働力の高騰を背景に2024年頃の5.7億円から2034年には7.9億円へと、約10年間で2.2億円増加するとの見通しを説明。「電子カルテシステムは病院にとって心臓部分。多くの病院では通常、6~7年でシステムを入れ替えるが、更新ごとに大幅に引き上げられた契約料金を支払い続けなければならず、診療収入で賄わざるを得ない病院にとって大きな負担」と指摘。今後、さらに負担が膨らむとして、診療報酬で対応するなど国による支援を求めた。

◎電カル更新時にリース料が1.5倍以上跳ね上がる病院も

電子カルテシステムをめぐっては更新時にトラブルが頻発している状況も報告された。東京科学大学病院長の藤井靖久氏は、病院ごとに医療システムが異なることや複雑化するシステムに技術力が追いついていない現状を挙げ、「当院でも電子カルテを別のベンダーに変えて2か月以上経過しているが、会計システムとの連動などでトラブルが続いており、多数のスタッフが残業や休日出勤で対応を強いられている。電子カルテの契約料金は毎年少しずつ上がるのではなく、契約更新時にズドンと高くなり、現在は月に1億円以上の支出であり、そういった中でトラブルに見舞われている状況だ」と、更新時の電子カルテ運用に苦慮している現状を打ち明けた。

京都大学医学部附属病院長の髙折晃史氏は、ベンダーを変えていないので大きなトラブルはないと前置きしつつ、「新しい検査など医療が複雑化しているため、バージョンアップだけではカバーできないところもある。そうするとまた費用が膨らむといういたちごっこのような状況が続いている」と述べた。

旭川医科大学病院長の東信良氏は、「来年に更新を控えているが、月々のリース料金は少なくとも1.5倍に跳ね上がる。特定機能病院が発揮すべき高度医療を効率よく提供していかなければならない中、全く診療報酬で対応していただけず、真水で支払っている現状には非常に困惑している」と改めて診療報酬での対応を訴えた。

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