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科研製薬 シルクエラスチンの国内独占販売契約締結 堀内社長「創傷治療のオンリーワン企業目指す」

公開日時 2024/10/08 04:52
科研製薬は10月7日、三洋化成工業との間に創傷治療材料・シルクエラスチン創傷用シートの日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を締結したと発表した。契約締結に合わせて東京都内で会見した科研製薬の堀内裕之代表取締役社長は創傷治療領域の既存の医薬品とともに「シナジーを大きく生む製品であり、創傷治療の全てのステージでさらに貢献できる」と期待を込めた。また、ポートフォリオ拡充により「『傷は全部うちで治す』という意気込みで、創傷治療のオンリーワン企業を目指す」との意欲を示した。

◎創傷治療領域でシナジー「全てのステージで貢献」 医療材料への進出にも意欲

科研製薬は、壊死組織除去剤・ネキソブリッドや褥瘡・皮膚潰瘍治療薬・フィブラストなど創傷や熱傷の治療に関連した医薬品を有する。独占的販売権契約を締結したシルクエラスチンは、治癒能力を持つ細胞を損傷部分に集めて組織再生をさせることで治癒の促進が期待される。堀内社長は「シルクエラスチンは一般的な創傷の前半から中盤にかけて幅広く使用できる。製品ラインナップに加わることにより、創傷治療の全てのステージでさらに貢献できる」と強調した。また、「革新的なシルクエラスチンという医療材料を扱うことで、医薬品だけでなく医療材料の分野にも進出し、取り組んでいきたい」と意欲を示した。

会見に出席した三洋化成の樋口章憲代表取締役社長は、シルクエラスチンの有用性を「高い治癒能力とともに、副作用が認められないという点も大きな特徴」と説明。販売パートナーとなる科研製薬について「皮膚科や整形外科の領域で国内でのチャネルが強く、医師からの信頼も厚い」と選んだ理由を明かした。

◎シルクエラスチン 日本初の遺伝子組み換え医療機器として24年4月に申請

シルクエラスチンは、シルクの原料になる繊維状のタンパク質「シルクフィブロイン」の部分配列と、天然由来のタンパク質「エラスチン」を組み合わせ、遺伝子組み換えによって生成された人工タンパク質。複雑な創傷面に密着して細胞増殖の環境を作り、細菌感染を助長することなく治癒を促進することが示されている。三洋化成では、日本初の遺伝子組み換え技術を用いた医療機器として2024年4月に製造販売承認申請を行った。

今回のライセンス契約締結により、科研製薬は日本国内における創傷治癒用途でのシルクエラスチンの独占的販売権を取得。三洋化成に契約一時金と売上に対する一定のロイヤルティを支払う。具体的な額は非開示としている。売上目標について堀内社長は「2桁以上3桁未満」と述べた。

また、シルクエラスチンは、創傷治療だけでなく、半月板損傷治療を対象とした生体組織の修復・再生促進でも治験が進められている。三洋化成の樋口社長はシルクエラスチンの適応拡大や海外への販路拡大に意欲を示しつつ、販売パートナーについては「全くの白紙」とした。
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